福岡県後期高齢者医療広域連合の設立に絡む汚職事件で、福岡地検は23日、収賄罪で同県前副知事の中島孝之容疑者(68)を、贈賄罪で県町村会長(添田町長)の山本文男容疑者(84)と前事務局長の笹渕正三容疑者(80)を、それぞれ福岡地裁に起訴した。中島前副知事は同日夜、保釈され、県警本部を出た。町村会幹部らによる詐欺事件に端を発した捜査は、約3カ月を経て一つの区切りを迎えた。
起訴状によると、同広域連合設立準備委員会の会長だった中島前副知事は2007年8月7日、県庁の副知事室で、広域連合設立に際して町村会に議員定数などで便宜を図った見返りとして、山本会長と笹渕前事務局長から現金100万円を受け取ったとされる。
県警や関係者によると、3人はいずれも容疑を大筋で認めているという。それぞれの弁護人は西日本新聞の取材に対し、3人の認否などを明らかにしていない。
県警は昨年11月、事務用品を架空請求する手口で町村会から約100万円を詐取して裏金をつくったとして、詐欺容疑で町村会幹部ら4人を逮捕。幹部らの供述などから、町村会側が裏金で中島前副知事ら県幹部を高級クラブなどで接待していた疑いがあることが判明した。さらに今年に入り、同広域連合の設立に絡む現金授受疑惑も発覚し、事件は中島前副知事と全国町村会長も務める山本文男会長とによる贈収賄事件に発展した。
県警は博多署に設置した60人態勢の捜査本部を近く解散する方針。今後の捜査は贈収賄事件の裏付けを中心に行われる。
=2010/02/24付 西日本新聞朝刊=