県町村会長で添田町長の山本文男容疑者(84)が23日、贈賄罪で起訴された。トップ不在の町では、町政の刷新派と町長の擁護派との間で対立が顕在化。2日の逮捕から3週間が過ぎ、町長の進退をめぐる「攻防」が激しさを増している。
「ちょっと悪いことをして、あの人はクビと、そんな冷たい対応ですか」。「いまだに進退を明らかにしない。町長10期の功績が吹っ飛んだ」。22日の町議会全員協議会では、激しい応酬が繰り広げられた。
全協では執行部が、弁護士から得た町長の談話を報告。「近々のうちに帰れると思います。詳細については帰ってご説明申し上げます」。進退への言及はなかった。
「町長の説明を待つべきだ」。「町の運営が正常でない現在をどう判断するかだ」。双方の議論は平行線をたどった。
業を煮やした一部の議員は全協後、臨時議会の招集を要請。ただ現状では、辞職勧告決議案は可決の見通しだが、不信任案可決の可能性は低い。
「後戻りはできない一歩」(町議)を踏み出した背景には、7月に任期満了を迎える町議選がある。「議会に自浄能力はない」。住民から批判が出れば、支持基盤も危うくなりかねない。刷新派の町議は語気を強めた。「町民が納得する常識的な対応が必要だ」
一方の擁護派。「不信任案は可決されないし、辞職勧告決議案に法的な拘束力はない」と、しばらく静観の構えだ。
一部の議員は町長の続投を求めて署名活動を始めている。「これまでの実績もある。来年1月の任期までは続けてほしい」と打ち明けた。
=2010/02/24付 西日本新聞朝刊=