FILE 01
|
DOS/V
POWER REPORT Q&A COLLECTION
|
2002年
|
6月号
|
160GBのHDDを購入したのですが、Windows XP上からうまく認識されません。マザーボードにはGIGA-BYTEのGA-6OXETを使用していますが、どうしたら使えるようになるのでしょうか? (長田正也さん) |
160GBのHDDを認識できない(正しくは137GB以上の容量を認識できない)のは、使っているPC側のIDEインターフェースが160GBという容量のHDDに対応していないためです。 現在、市場に出ている137GB以上の容量を持つHDDには、MaxtorのDiamondMax D540X 4G160J8(160GB)がありますが、従来のPCでは、このHDDの137GBより上の容量をWindowsやBIOS上で認識できないことがあります。 これまでにもIDEでは、その規格上の問題、あるいはソフトウェアやハードウェア上の問題から、HDDの持つ本来の記憶容量を正しく認識できない「容量の壁」と呼ばれる制約が何度か発生しました(表1-1参照)。今回の137GBの壁もその一つです。
質問にあるIntel 815EPチップセットを搭載したGIGA-BYTE「GA-6OXET」の場合、137GB以上のHDDを認識できるF9以降のバージョンのBIOSを導入し、IntelがWebサイト上で無償配布しているユーティリティソフト「Intel Application Accelerator」(Windows NT以外では、Intel Chipset Software Installation Utilityを先にインストールする必要があります)をインストールすることで、対応ドライバが組み込まれ、BIOSとWindowsから137GB以上のHDDを正しく認識することができます。これにより、Windows上から、160GBのドライブとして扱うことができるようになります。
また、例に挙げた「GA-6OXET」を含め、マザーボードによっては、最新のBIOSを導入することで、137GB以上のHDDを使用してWindows XP、2000をセットアップすることが可能です。この場合、Cドライブとして使用することができます。このことに各製品が対応しているかどうかは、お手持ちのマザーボードのメーカーに問い合わせてみてください。
BIOSが対応していないチップセットを使用したマザーボードに関しては、残念ながら137GB以上を認識することはできません。このような場合は「Big Drives」と呼ばれる137GBの壁を解消するための技術に対応したPROMISE TECHNOLOGYの「Ultra133 TX2」などのインターフェースカードを使用することで、問題を解決することができます。なお、このBig Drivesは、ATA/ATAPI-6と呼ばれる次期ATA規格に正式に盛り込まれる予定になっています。
それではここで、なぜ137GB以上を認識できない「容量の壁」が生じたのか、もう少し詳しく説明してみましょう。 HDDの記憶領域は、ソフトウェア上からセクタという単位で管理され、特定のセクタを指定するには、そのセクタを示す番号、すなわちセクタアドレスを使用します。もともとIDEのHDDでは、CHS(Cylinder、Head、Sectorの略)の三つのパラメータを使ってディスクにアクセスする方法を使っており、現在のIDEのHDDでは、HDD全体で順番に割り振られた番号を指定して、HDD側で実際のCHSに変換してアクセスするLBA(Logical Block Address)と呼ばれる方法を使っています。実は137GB以上のHDD容量を認識できない容量の壁は、このアクセス方法に原因があるのです。
現在、一般に広く使用されているLBAは、28bitのアドレス指定方式を採用しており、1セクタの容量が512byteに固定されているPC用HDDにおいて認識できる最大容量は 512byte×228=137,438,953,472byte(約137GB) になります。このように、現行のIDEのデータ転送規格であるATA100規格(ATA/ATAPI-5)では137GBを超える容量のHDDを認識するようにはできておらず、現在市販されているPCの多くはこのATA規格に従ったものです。 しかし、Big Drivesの場合、48bitのアドレス指定方式を採用しているため、認識できるHDDの容量は、従来の制限の約100万倍となり、 512byte×248=144,115,188,075,855,872byte までを認識することが可能になっています。これならば、当分の間、IDE HDDのLBAが容量の壁になることはないでしょう。 そのほか、WindowsなどのOSのファイルシステムによる2.2TB(テラバイト)の「容量の壁」が存在します。これは、Windowsが、32bitアドレスを使用しているために起こる問題ですが、こちらもしばらくは問題にならないでしょう。 (Ta 152H-1) |