2009年に県警が認知した振り込め詐欺の被害は65件(未遂2件含む)・総額5982万円で、前年に比べ85件・4846万円減少したことが7日、県警への取材で分かった。「県民に振り込め詐欺への“抵抗力”が付いてきた表れ」と担当者。ただ、警察官や銀行員を装ってキャッシュカードをだまし取るケースなど犯人側は手口を巧妙化させており、県警は「被害予防と摘発の両面で取り組みを強めたい」としている。
県警によると、手口で最も多いのは「架空請求詐欺」の33件・3605万円。「アダルトサイトの料金が未納になっています」とうそのメールを送り付けるなどしてだます手口で、被害者の6割以上を20~30代が占めた。
続いて、融資を求める人を狙う「融資保証金詐欺」の20件・1015万円。雑誌やインターネットなどに広告を掲載し、これを見て連絡してきた人に「借金を一本化しませんか」などと持ち掛ける。年齢層に関係なく、多重債務者が狙われるケースが目立つという。
「オレオレ詐欺」は10件・1231万円で、被害者の7割は高齢者。これまで犯行は、息子を名乗って電話をかけ「会社の金を使い込んだ」などと言って金を振り込ませるパターンが多かった。しかし昨年3月以降は、警察官や金融機関職員をかたり、高齢女性宅を訪問してキャッシュカードを詐取し、現金を引き出すケースが続発した。「還付金詐欺」などは2件・131万円の被害があった。
振り込め詐欺に関係した犯罪で摘発した人数は33人に上った。内訳は、実行犯が10人。転売目的で銀行口座を開設する「口座詐欺」によって実行犯に“犯行ツール(道具)”を提供するなどの「振り込め詐欺を助長する犯罪」(捜査関係者)で23人を摘発した。
「官民一体の啓発が奏功」
振り込め詐欺被害が大幅に減った要因について、県警は「官民一体の広報啓発活動が奏功した」とみる。
県警は昨年1月から半年間、交番や駐在所などの“お巡りさん”が高齢者宅を訪問し、手口や対処法を説明する「高齢者30万人総当たり作戦」を展開。さらに「携帯電話の番号が変わった」「料金が未納」「あなたの口座が詐欺に使われている」など、犯人がよく使うだまし文句をキーワードに指定。これらを含む不審な電話を受けたら「即、110番通報を」と呼び掛けるなど“あの手この手”で被害予防に取り組んだ。
自治体や金融機関なども警察との情報交換を密にした。金融機関では年金の振込日に合わせて現金自動預払機(ATM)周辺の警戒を実施。だまされて振り込もうとしている疑いがある人への声掛けの仕方を研修したり、万が一だまされても被害を最小限にするため、顧客に利用限度額の引き下げを勧めたりしてきた。
県警は、今年の被害抑止目標を「50件・4千万円以下」と設定。「目指すはあくまで撲滅。危機意識を高め、不審に思ったら周囲に相談したり、すぐ警察に知らせてほしい」としている。
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