日本司法書士会連合会は23日、債務整理にかかわる司法書士や弁護士の高額報酬やモラルの欠如が問題化しているのを受け、報酬の上限設定を検討する方針を明らかにした。広告の指針も作る。6月の定時総会をメドに結論を出す見通しだが、カルテルとして問題視する可能性が高い公正取引委員会との調整が必要だ。
同日開かれた超党派の「多重債務問題対策議員連盟」の総会で、日司連が「大々的に広告して全国から依頼者を多数獲得し、自らの利益を優先する司法書士も現れてきた」として対策を表明した。昨年末に作った債務整理の処理に関する指針を規則に格上げし、違反会員を懲戒できるようにする方針も示した。日本弁護士連合会にも協調を促したい考えだ。
司法書士の報酬は2003年に、弁護士の報酬も04年に自由化され、依頼者との合意で決まる。広告についても弁護士は00年に、司法書士は01年に自由化された。公取委の指摘も受け、競争を促す狙いで自由化された経緯がある。
こうした中で、06年1月の最高裁判決を機に過払い利息返還請求が急増。消費者金融専業主要7社の06年4月〜09年9月の利息返還額は計約1.4兆円に達し、法曹界に「特需」が発生している。多重債務者が司法書士や弁護士の高額報酬で「二次被害」に遭う問題も指摘されている。
日司連は08年1月、報酬について会員にアンケートを実施。「金融会社から50万円を借り入れていたAさんから依頼を受けた司法書士が、過払い利息70万円を返してもらう和解を成立させ、返還を受けた」という想定では、着手金は平均約4万4千円、成功報酬は平均約14万3千円(いずれも関東地区)だった。(吉原宏樹)