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【国際】

金嬉老元受刑者 『刑務所で民族的差別受けた』

2010年2月23日 朝刊

 【ソウル=築山英司】一九六八年に静岡県で暴力団幹部ら二人を射殺後、人質を取って寸又峡温泉の旅館に立てこもった「金嬉老事件」の金嬉老(キムヒロ)元受刑者(81)=本名・権禧老、写真=が、熊本刑務所に服役中に暴行や差別を受けたと支援者に訴え、民族差別の問題として広く知らせるよう求めていたことが二十二日、分かった。

 韓国外交通商省が同日、同事件などの外交関連文書を公開した。

 それによると、在日韓国人二世だった金元受刑者は、七八年九月八日付でソウル在住の支援者に日本語で手紙を送った。「刑務所内で暴行を受けたり、民族的差別による村八分的迫害を受けた」と主張し、「韓国人軽視による問題」として、在韓日本大使館に告発するよう求めた。

 しかし、韓国政府が福岡総領事館を通じて直接面会した結果、日本人受刑者がテレビで見た韓国軍を「おもちゃの軍隊」とからかったため、けんかになったと分かった。

 刑務所側は日本人受刑者を分散収容するなどの改善措置をとっており、同総領事館は「(金元受刑者が)暴行や不当な処遇を受けた事実はない」と本国に報告した。

 金元受刑者は九九年九月に仮釈放され、現在、韓国南部の釜山市に住んでいる。

 

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