政府は二十三日、景気の基調判断を「持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」とする二月の月例経済報告を関係閣僚会議で決定し、判断を七カ月連続で据え置いた。報告の本文では明記していないものの、トヨタ自動車のリコール問題で米国での日本車販売台数が鈍るなど影響が出ており、景気の下押しリスクとして警戒し始めた。
トヨタ問題について、菅直人経済財政担当相は記者会見で「自動車産業はすそ野が広いので、日本経済に与える一般的な影響も幅広い。海外での販売状況に影響が出ているという情報もあるので、注意深く見ていきたい」と述べた。
内閣府によると、米国での日本車販売台数は、昨年十二月は前年同月比24・6%増の四十一万六千台だったが、プリウスのブレーキの不具合が表面化した今年一月は同4・3%減の二十六万六千台に落ち込んだ。特に一月は、日本からの輸出車が19・1%減と、現地生産車よりも強い打撃を受けた。
国内でも、一月と二月はエコカーの受注が伸び悩んでいるといい、津村啓介内閣府政務官は「(豊田章男社長の)米議会の公聴会での対応がリスクを払しょくすることを期待している」と述べた。
一方、輸出は中国に向けた鉄鋼の伸びが鈍化したため「アジア向けを中心に増加」から「緩やかに増加」へ一年一カ月ぶりに下方修正。輸入も「持ち直し」から「緩やかに持ち直し」に一年ぶりに下方修正した。
また、景気対策のために公共事業を前倒しして発注してきたため、ここにきて息切れ。公共投資は「堅調に推移」に「このところ弱い動きも見られる」と付け加え、七年半ぶりに下方修正した。
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