2010年02月02日

元「慰安婦」証言集会に参加した陸軍出身者

 「申し訳ない。とても言えることではない」―― 元陸軍兵士の告白

 昨年11月28、29日に大阪、京都で開催した姜日出(カン・イルチュル)ハルモニ(おばあさんの意。81歳)をお招きしての証言集会は、両会場ともに350人超の方々に参加いただきました。
 わたしたちが京都で証言集会を始めてから6年目の去年。毎年200名前後と多くの方々の参加がありましたが、とくに去年は地方議会での"慰安婦問題の即時解決を求める決議採択"が相次ぐなど、開催前から関心の高まりを感じていました。
会場 また、知名度の高い韓国・広州市「ナヌムの家」からの証言者ということで、ナヌムの家を訪れた経験がある方々、遠くは東京や横浜からの参加もありました。

 「いつもより多目に」と準備した資料もあっと言う間になくなり、慌てて椅子を追加したのですが座席もすぐに足りなくなってしまうほどでした。


 例年、若い世代の参加者が多いのが特徴ですが、今年とくに印象に残ったのは、90歳になるおじいさんの参加です。
 受付にいたスタッフの話によると、このおじいさんは当日たまたま会場でチラシを受け取り参加したとのこと。集会開始前からしばらく会場のあたりを行ったり来たりしていたようなのですが、集会後半、姜日出ハルモニの証言が始まる直前になって中に入って来られました。(村上)


 恐らく、一大決心をして臨まれたのでしょう。終了後、このおじいさんのアンケートには一言、「申し訳ない。とても言えることではない(90歳、元陸軍曹)」と書かれていました。
 語ることはできない、忘れることもできない。しかし、このおじいさんの記憶は、誰かに聞いてもらうのを待っているのではないか、そんな気がしました。

 証言集会当日は、姜日出ハルモニの本当に緊張した様子が伝わってきました。「慰安所での体験は口で言えるようなことではありません」「みなさんには見えないが、心の中に血の涙が流れているんです」・・・思い出せば血の涙が流れるような記憶を呼び覚ます証言を、何度も繰り返し強いている私達。それでもハルモニが日本にまで証言をしてくださるのは、日本政府が未だに誠実な謝罪を行わないから。そして、悲惨な戦争を体験してきたハルモニが「日本、朝鮮半島、中国の子どもたちが再び争うことがないように」と、心の底から願っているからにほかなりません。

ぎょうざづくり 証言集会以外の日は、宿舎でハルモニの指導の下、自慢の手作り水餃子づくりを一緒に楽しんだり、金閣寺などを観光したりしました。また、自然の好きなハルモニは、紅葉のきれいな京都の秋をたいへん喜んでくださり、「こんなところに暮らせたら100歳まで生きれる」ともおっしゃっていました。
 帰る間際、ハルモニは「日本政府が謝罪をしたら、また来ます」と言い残して去っていかれました。証言集会ではないまた別の形でハルモニと京都で再会できるよう、これからも頑張っていきたいと思います。

Posted by sensouheno at 20:01│Comments(0)この記事をクリップ!戦後補償 | 村上

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