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マングース北上危ぐ 鹿児島市で確認8か月 70匹捕獲 専門家「本土の環境に適応か」 侵入経緯不明のまま

2月23日7時7分配信 西日本新聞

 生態系に悪影響を及ぼす「特定外来生物」のマングースが、本土で初めて鹿児島市喜入地区に繁殖しているのが判明し、22日で8カ月が過ぎた。繁殖力が旺盛なのに同地区以外では捕獲されず、本土侵入の経緯も不明。一方で本土の環境に適応し、「進化」した形跡が確認された。専門家は「今のうちに根絶しないと、生息域が九州全域に広がってしまう」と警告する。

■寒さが阻む?

 「現段階で喜入は北限なのかも」。今月上旬、鹿児島県が開いた行政担当者と専門家の検討会で、環境省那覇自然環境事務所野生生物課の阿部慎太郎課長補佐は指摘した。

 原産は南アジア。猛毒を持ったハブの「天敵」とされ、ハブの駆除を目的に1910年に沖縄本島、70年代末に奄美大島に持ち込まれた。県は昨年6月、喜入地区での生息を確認。その後、79年に捕獲したはく製があることも分かり、少なくとも30年前から本土で繁殖していたとみている。

 鹿児島県は昨年7月に捕獲を開始。これまで約70匹がわなにかかった。捕らえたのはすべて同地区の中名(なかみょう)を中心とした南北12キロのエリア。また、目撃証言もほとんどが同地区だ。

 沖縄と奄美では、生息域が年に1キロ四方ずつ広がったとみられている。阿部補佐は「本土は寒さが拡大を阻んでいる可能性がある」と分析した。

■施設でショー

 そもそもどうやって本土に上陸したのか。喜入地区には世界最大級の石油備蓄基地があり、一時はタンカーに紛れ込んだ説も挙げられた。しかし、鹿児島国際大の舩越公威教授(哺乳(ほにゅう)類学)は「警戒心が強いのに、自ら船に乗るとは思えない。人が持ち込んだと考える方が自然」とみる。

 同地区に隣接する指宿市の池田湖畔には、69年ごろから99年まで、ハブとの決闘ショーを見せる観光施設があった。「『数回逃げた』と75年ごろ、ショーを運営する男性に聞いた」。近くのドライブインの支配人(57)は証言する。ところが男性はすでに死亡、事実確認は困難だ。

 県自然保護課も「侵入の経緯に関する複数のうわさを調査したが、どれも古い話で真偽は分からなかった」としている。

■「壁」の突破も

 検討会では舩越教授が、本土の個体は沖縄に比べ、寒さに耐えるよう体重が大きく、体長は小さく「進化」しているとの研究結果を報告した。

 食欲旺盛で天敵は皆無。喜入地区でまだ目立った被害はないが、沖縄と奄美では作物を食い荒らし、固有種のヤンバルクイナやアマミノクロウサギを絶滅の危機に追いやった。沖縄で1万匹、奄美で3万1千匹が捕獲されたが、根絶のめどは立っていない。

 「地球温暖化も重なり、やがては『北限の壁』を突破する」。舩越教授は危機感を訴えている。

=2010/02/23付 西日本新聞朝刊=

最終更新:2月23日7時7分

西日本新聞

 

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