県内で09年に発生した振り込め詐欺の認知件数は126件(被害金額約1億9000万円)で、統計を取り始めた04年以降、最低だったことが、県警捜査2課のまとめで分かった。前年の325件(同約4億9600万円)から件数、被害金額とも6割強の大幅減となった。同課は「振り込め詐欺をやりにくい土壌が県内にできつつある」と分析、さらなる被害防止に「おかしいと思ったらすぐに相談を」と呼び掛けている。
同課によると、認知件数の内訳は▽親族などを装い金を振り込ませるオレオレ詐欺44件(35%)▽利用した覚えのない携帯電話の有料サイトの支払いや債権回収などを求める架空請求詐欺32件(25%)▽医療費などの還付名目で手数料などをだまし取る還付金詐欺29件(23%)▽融資を持ちかけ保証金などをだまし取る融資保証詐欺21件(17%)--となっている。
このうち、還付金詐欺被害は6月11日以降確認されておらず「ほぼ撲滅状態」(県警捜査2課)。一方、オレオレ詐欺と架空請求詐欺は、いまだに発生が多くみられるという。被害者の年齢層をみると、オレオレ詐欺は50歳以上が全体の97・7%を占め、架空請求詐欺は30歳以下が81・2%と、極端な偏りを示した。
認知件数・被害額の減少について、同課は▽県民の警戒心が高まったこと▽金融機関の職員によるATM(現金自動受払機)での声かけなどの水際作戦--を挙げたうえで「減ったとは言え、いまだに1億9000万円もの被害がある。少しでも被害を防ぐため、今後も予防・検挙の努力を続けていく」とした。【塩田彩】
毎日新聞 2010年1月29日 地方版