「看護師に物を投げつける」「2人きりになると、入れ墨や日本刀を示して威嚇する」。先日参加した医療問題の勉強会で、姫路市内の病院関係者から聞いた困った患者たちの事例だ。病院側への不当な要求や嫌がらせが医療現場の疲弊を招く原因になっていることを改めて実感した。
一方、院内で起きた患者側とのトラブルを把握し切れていない病院が多いことも知った。現場レベルで問題を抱え込んでしまうことが原因だという。
病院側は「ほとんどの患者さんはきちんと受診している」とも強調した。一握りの困った患者によって医療現場が混乱すれば、不利益を被るのはこうした善良な患者だ。各病院は院内の実態を把握し、場合によっては公表する必要もあるのではないか。組織的な対応や地域全体の監視こそ、病院への不当な要求の抑止力になると思うからだ。【大久保昂】
〔播磨・姫路版〕
毎日新聞 2010年2月21日 地方版