仙台市宮城野区の精神病院で男性(当時30歳)が死亡したのは、県の「措置入院」に基づいて入院したのにかかわらず医師の適切な治療がなかったためとして、石巻市の男性の両親が、男性を入院させた県を相手に損害賠償など約7548万円の支払いを求めた訴訟の判決が22日、仙台地裁であった。畑一郎裁判長は「男性を速やかに総合病院へ転院させていれば、救命できたがい然性が高い」として約2558万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は06年4月に統合失調症と診断され、県が精神保健法に基づき精神病院に入院させた。その後、男性は医薬品投与の副作用で口腔(こうくう)内出血や湿疹(しっしん)を伴う「スティーブンス・ジョンソン症候群」(SJS)を発症し、同5月に死亡した。
畑裁判長は、県の責任について「措置入院患者への治療行為は公権力の行使に当たる」と認定。担当医師についても「発熱や口腔内出血からSJSの可能性は予見できた。医師には投薬中止義務違反と転院義務違反があった」と指摘した。【鈴木一也】
毎日新聞 2010年2月23日 地方版