旅はまだ終わらない
テーマ:コラムここのところ雨。つめたい雨。または雪。
上の写真は朝8時頃。お店のテントを流れ落ちるつめたい雨の滴。
寒い。ほんとうに厳しい寒さがつづく。
風も吹きつけている。
それも切りつけるような冷たい風が吹きつづく。
厳しい冬がいすわっている。
入口ドアは結露している。
こんなことはめったになかった。
ふいてもふいても冷たい外気に結露をくりかえす。
正直な告白をしたい。
ここのところの悪天候と風に「きょうは開店前の行列はないでしょう」と毎日思いました。
でも開店時にたくさんのお客様が身を縮めて傘もささずにじっと並んで待ってくださる姿を認め、
わたしたちはしんと静かな、というか敬虔な気持ちになりました。
ずいぶん長く生きてきたけれど、これほど人様のこころをありがたく感じたことはありませんでした。
この天候の中をご来店くださったお客様方、ほんとうに、ありがとうございました。
こうべを垂れて、心から、厚く御礼申し上げます。
ほんとうに、心をいれかえて精進したいと、感じています。
感動しました。
わたしは、ずっと昔のある方のことを思い出していました。
その頃のわたしの住まいの並びにスターダンサーズバレエ団がありました。
当時そこでプリマドンナをしていたOさんとはよくお茶をいただいたりしました。
スターダンサーズバレエ団に歌手の中島みゆきさんが通っていました。
若くすでに大スターであったのに、素顔で、帽子もサングラスもなしで、
たいへんに人が多い最寄りの地下鉄駅に堂々と降りて行く中島みゆきさん。
地下鉄の駅にしずかに消えていく彼女の後ろ姿をよく見かけました。
あれほどの大スターが素顔で普段着で電車で移動することが衝撃でした。
着飾って大きな車で移動する、それが当然だと思いました。
プリマドンナのOさんに、そのことについて尋ねたことがありました。
中島みゆきさんは「立ち姿を美しくしたい」、そのためだけにバレエに通っていることを知りました。
舞台に立ったとき、お客様のために美しく立ちたいのだ、と。
市井の人間には(わたしには)とうてい理解できないはなしでした。
中島みゆきさんのはるか遠くを見通す眼力など気づくこともできませんでした。
でも、その姿勢に強くうたれたのはたしかでした。
それらのできごとをふっと思い出したのです。
中島みゆきさんはきっと自分の歌を応援してくださる方々に深く感謝していらしたのでしょう。
あれは感謝の気持ちからの行動であったのだと、わたしは突然知ったのです。
そして大好きな「ヘッドライトテールライト」をyoutubeで見てみると、
なんとも美しい立ち姿の中島みゆきさんが写っていました。
わたしも姿勢をもって仕事をしてみたいなぁと、いま、思っています。
正直な告白、でした。
みなさまに感謝しながら、これからもブレッド&サーカスをつづけてまいります。
どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。
ブレッド&サーカスでした。