いつもおもしろい展示会があるブリコラージュ。
〈http://www.jimoto-navi.com/bricolage/〉
今回は「佐古馨 木のうつわ展」にいった。
佐古馨さん(Imagination Material Accident)は木の食器、木と鉄を組み合わせた家具などを作っている。
うつわの載っている鉄製の台も佐古さんの作品。
どのうつわも、その木が本来持っているものを大切にして作られていると感じる。装飾や「作為」のないシンプルなうつわたち。
ただし、どのうつわも一筋縄ではいかない。
一枚一枚、微妙に歪みかたが違うメイプルの皿。グリーンターニングという手法で作られている。
生木の状態で成形し、それが乾燥するときに木自身の力で歪みが生じる。自然のゆらぎだから決して同じものにはならない。
木はつきあってみないとわからない、と佐古さんはいう。
ケヤキは男性的な感じがするが、彫ってみると意外に柔らかく扱いやすい。
カエデは色が白く女性的な感じがするが、硬くててごわい。そのぶん、薄手に作ってもしっかりしている。カエデの木は、幹が回転し曲がりながら育っていく。かなり暴れる木だ。(だからグリーンターニングでおもしろい味が出る)
うつわに使われているのは広葉樹ばかり。
刳りものにはスギなど針葉樹は使わないという。うつわにするには軟らかすぎる(一部例外はあるが希少なため手に入れにくい)し、すっとまっすぐ上に向かってのびていく針葉樹は、主に建築資材として使われるからだ。
家を建てるときにはほとんど使われない広葉樹をうつわに使う。文字通りの適材適所。
日の光や水で木は育つ。
木で作られたものも人の手で育つ。
使っているうちに色が変わり、味わいが深くなる。
丁寧に扱われたうつわは丁寧に扱われたように育つ。
佐古さんは、素直に育ったぼんぼん(関西弁で坊ちゃんのこと)みたいなうつわも良いけれど、傷が付いたらそれも良い味に育つという。火を当てるのは木をいじめることだけれど、その木が本来持っている強さを引き出すことができる。
なるほど、燻されて木目がくっきりと浮き出したクリの皿には、長い風雪を経てきたかのような風格がただよう。
うつわのまんなかにあるとんがりはレモンを搾るためのものだが、なんだか抽象的な彫刻のように見えた。
この紫はワインで染めた色。いろんな植物染料で染めることもこれからやってみたいとのことだ。