2006年11月19日

風工房「ふたり展」

染色家・斎藤洋さんの「風工房」が伏見から黒谷さん(金戒光明寺)の門前に引っ越して半年足らず。新しい工房で「ふたり展」があった。斎藤さんの「染」と高木ゆりさんの「縫」の組み合わせはこれまでにも何度もあったけれど、この場所でははじめて。

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染められた布をしばらく部屋に掛けておいてどんな服になりたがっているかをきく、と話していた高木ゆりさんがデザインした服はどれも世界にひとつしかないもの。ワンピースの上に取り外しできるベストを重ねたり、襟の形をいくつかに変えられるなど、遊びごころがいっぱい。
冬に向かう季節だけに、ふんわりと暖かく、柔らかい手触りのものが多い。

ゆりさんのお嬢さん・絵麻さんミシンワークの半幅帯は動物がいっぱいでとても楽しい。

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木綿の布に染めた「染絵」も展示されていた。
自分にはとても小さい空間だけどこの中でしかできないこともあるから、という斎藤さんの新しい作品。

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11月6日夕方からはオープニングパーティが開かれた。
ご近所の方もいらっしゃって、気の置けないにぎやかな集まりになっていた。みんなが知り合いのような雰囲気だ。
深井ゆうじんさんが、「見そめた人と」一緒に「染めたはるんです」、と風工房のことを書いた詩を京ことばで朗読した後、溝淵仁啓さん(ギター)と斎藤牧子さん(ヴァィオリン)のデュオでピアソラやグラナドスの曲を聴く。斎藤牧子さんは斎藤洋さんの妹さんだ。
工房の木の天井や床は、ギターやヴァイオリンの音をやさしく響かせた。

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11月16日からは佐賀県でモスリン展、12月13〜24日は河原町四条「ギャラリーにしかわ」でショール風布展、と展示会が続く。

  
Posted by olu_project at 02:58Comments(3)TrackBack(0)

赤の染色展

「あかるい空間」がひろがっていた。新婚さんの部屋みたいだ、と思った。
部屋の中はさまざまな赤の布で飾られている。茶色い木の床や黒い窓枠、竹や棕櫚の皮で作られたしつらえとその「赤」が調和して、派手ではないがあざやかな空間になっている。しあわせオーラを発している人とどこか似ていて、新婚さん、の連想はそのせいだろう。

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京都寺町ギャラリーテラhttp://www.biwa.ne.jp/~ryonryon/top.htmlでの『赤の染色展〜日本の赤・世界の赤〜』。ひろひろ実験工房の染色展だ。
紅花、茜、蘇芳、コチニールなど、さまざまな材料で染めた「赤」の色見本が並んでいる。アジアやアフリカ、現地にしかないもので染めた赤もある。

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赤、ピンク、朱、紅、緋色…赤系の色を表す語はいくつか知っている。
では、今目の前にあるこの色は? と考えると言葉につまってしまう。茜で染めた赤と蘇芳の赤。見比べれば違う色だということはわかるが、それを他人に言葉で伝えることはとても難しい。
また、名前からイメージしていた色と実際の色が違うこともある。
紅花の色を、わたしは夕焼けの色だと思っていた。けれど、紅花から取り出した色で染めたスカーフは、砂糖菓子の甘さを思わせるピンクだ。

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期間中、舞や紅花染めワークショップなどの催しもあった。
この日はベンガラ染めのワークショップ。中嶋留彦さんがベンガラで木や布を染める。
酸化した鉄分を含むベンガラは、建具などの塗装によく使われる。防虫・防腐効果があるためだ。また、電磁波を遮るから頭に巻くバンダナなどを染めるのもいいですよ、と説明される。
赤は魔除けの色としても使われてきた。それは赤が最もしりぞける力が強く、間があく、間=魔…と色彩論、語源論を展開しながらにぎやかなワークショップ。同じ素材を使っても、参加者それぞれの個性が出て独自の仕上がりになっていた。

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以前わたしはカラーコーディネートセミナーで、あまり彩度の高い赤は似合わないといわれた。その話を工房主宰の高橋裕博さんにしたら、「それは若かったから。大丈夫、年をとるとみんな赤が似合うようになります」うーん。なんとなく思い当たる。

同じテーマの染色展を、来年1月、大阪大正区のギャラリー・ブリコラージュhttp://www.jimoto-navi.com/bricolageで開催する予定。

  
Posted by olu_project at 02:44Comments(0)TrackBack(0)