少し暖かい日が続いていたのだが、また冷え込んできた。立春の日が気温の底になるらしい。
立春の前日が節分。もともとは季節の変わるときを節分と言い、年4回だったのだが、現在は立春のときだけを言うようになっている。TVが各地の豆まきや巻きずしの丸かぶりの風景を映している。年々派手になってるような気がする。
厄除けの大法会で有名な「あびこ山観音寺」に行った。
商店街すぐ、の立地にしては閑静なおもむきのあるお寺なのだが、この日ばかりはごったがえす。人の流れを一定にするために、駅から近い方の入り口は出口専用になっていて入れない。いつもと違う門にまわると、桜が咲いていた。彼岸桜なのか。それとも、ここしばらくの暖かさで季節を間違ったのだろうか。
節分の日に目立つのは、お不動さんのいらっしゃる護摩堂だ。護摩木が火にくべられる。勢いよく燃えているし、燃え殻を掻き出すとパッと火の粉が散る。寒いので、つい、寄ってしまう。
護摩を焚いている人たちは暖かいなどとは言っていられないだろう。山伏姿の人たちが燃えさかる火の前で般若心経を唱え、数珠を繰り、法螺貝を吹く。
中心になる(たぶん一番偉いお坊さんなのだろう)人は剣を片手に、護摩木に書かれた名前を読み上げては火に投げ込む。ある程度くべると、何か唱えながら数珠を繰り、印を結ぶ。意味はよくわからないが、さまざまな所作をする。全員で心経を唱える。見ているとなかなか面白い。30分くらいで交代し、基本的には同じ事を繰り返すのだが、人によって微妙にやり方が違う。几帳面な人もいればいれば豪快な人もいる。
お線香を立てている参拝者もいっぱい。お線香の煙を頭に擦りつけている。節分とは関係ないと思うが、なんでもありなところが日本のお寺の良いところだろう。
お寺を出て、出店の間を歩いて帰る。南天の箸や天津甘栗、スマートボールなど昔ながらの店もある。でも、たこ焼きやイカ焼きが減った気がする。そのかわりトルコ風焼き肉の店が2軒あった。
厄除け饅頭に行列ができている。この饅頭も10年くらい前からのものだ。厄年の人がぜんざいを炊いて、できるだけたくさんの人に厄を食べてもらう。それがもっと配りやすい饅頭に変わったのだろう。ずっと続いている行事もいろいろなところが変わっているのだ。
◇ OLU project 松岡永子 ◇