2006年01月15日

お正月

 門松を立てることもない。わざわざお節料理を作ったりもしない。大掃除すらいいかげんなわたしの年末年始。それでもお正月らしいイベントはいくつかあった。

正月1

 2005年も押しつまった30日。
 泥染めでお世話になったギャラリー、ブリコラージュ(http://www.jimoto-navi.com/bricolage/)に伺う。もう、お正月らしい飾りが置かれていた。
 今日はお餅つき。お店にはいると小学生でいっぱい。ここのお父さんとお兄さんがサッカーのコーチをしているので、子どもたちがたくさん来るのだそうだ。
 使いこんだ杵は、削られていくぶん軽くなっているのだが、それでもけっこう重さがある。小学生では扱いかねている。その中で、実にしっかりとしたつきかたをする子がいる。「さすが、剣道やってるだけあるなあ」と声が掛かる。素振りの要領なのだろうか。確かに腰が決まっている。
 大根おろし、納豆、きなこ、あんこ…などが用意されていて、ちょっとだけ食べるつもりがお腹いっぱい。キヌア入り餅、海老入り餅などもつく。いちごを持ってきた人がいて、いちご大福まで作った。
 もらって帰ったお餅は、お正月にお雑煮にして食べた。

正月2

 明けて2006年。
 年のはじめに幸いを願う、というにはやや間の抜けた時間だったが、大阪の天神さんに初詣。
 お正月は、やはりきもの率が高い。大振袖のお嬢さんが大きく振りかぶってお賽銭を投げ入れていた。梅はさすがにまだだが、おみくじを結び付けられた木は満開に見えた。
 わたしはお神楽を見るのが好き。鈴を持った巫女さんがくるくると回り、シャンシャンと鈴を振るのをしばらく眺める。

正月3

 今宮神社の十日戎。夜はあまりの人混みで身動きが取れなくなるので、ちょっと早めに行った。それでも大変な混雑。お祭につきものの(おそらく趣味の)カメラマンもたくさんいる。並んでいる福娘の人たちを見ながら、「いやー、すごいべっぴんさんやなあ」とうれしそうに言って携帯電話で写真を撮っているおじさん。他のものには見向きもしない。なんか間違ってるぞ、と思う。
 ここのお神楽は何種類かある(たぶん初穂料の金額によって違う)。鈴の舞いの他に、剣を振る型がある。

正月4

 戎さんでは、お社の正面で拝んだあと、後ろにまわってそこにある板を叩いて帰る。「わたしはちゃんとお参りに来たよー、忘れないでねー」と神さまにダメ押しするために叩くのだ、と子どもの頃に教わった。本当かどうかは知らない。でもとても大阪の戎さんらしい感じだ。

◇ OLU project 松岡永子 ◇  
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2006年01月05日

寒い日は早めにご帰宅を―神さまも

12月17日は奈良・春日若宮おんまつり。17日に日付が変わってすぐ、神さまに本殿からおでましいただいて仮御殿にお迎えし、舞や音楽でおもてなししたあと、日付が変わる前に本殿までお送りする。神さまがおりてこられる「遷幸(せんこう)の儀」は見せてもらえないのだが、お帰りになる「還幸(かんこう)の儀」は一般人も見学自由。ただ、最後まで見ると、たぶん最終電車に乗れない。

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12月としては記録的な寒波が上空に入りこんでくるため17日は不安定なお天気、という予報。でも、奈良駅に着いた1時過ぎにはよく晴れていた。しかし、午前中は悪天候だったらしい。「荒天のためお渡り式は中止になりました」の貼り紙。
 お渡り式というのは神さまではなく人間のパレード。平安から江戸時代まで、それぞれの衣装をつけた人たちの行列が町を歩く。道の状態が悪いため、最小限になったらしい。競馬(くらべうま)、流鏑馬(やぶさめ)などの派手な演目も中止。
 そのため、お祭全体の進行は1時間半ほど繰り上がっていた。

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ふだんの御旅所はただの広場。今日は正面に神さまのいらっしゃる黒木の松の御殿が見える。緑の葉で屋根を葺いたお社は、若々しくてちょっとカワイイ。その前に方形に土を盛った芝の舞台がある。芸能はここで神さまのために神さまの方を向いておこなわれ、人間はそれを脇から見る。

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社伝神楽、東遊(あずまあそ)び、田楽、細男(せいのお)、猿楽、舞楽、と芸能がつづく。古典芸能の博覧会といった趣のある芸能奉納は、全部で7時間以上になるし、吹きさらしで寒い。見たい演目をプログラムで確認しておいて、途中でおうどんを食べに行った。

芸能をすべて奉納し終わり、神さまを本殿にお送りする「還幸の儀」。一度見たいと思っていた。
提灯を持った警備の人に先導されて、身長の倍ほどもある松明を引きずった人が道の両脇を通る。神さまの通り道を火で浄めるためだろう。そのうしろを榊を手にした浄衣(白い着物)の人たちが歩いてくる。オオオオ、と声を出しつづけているのは神さまのための空間を音で浄化するためだろうか。雅楽を演奏しながら、楽人たちがつづく。そのあとに氏子さんたち、最後に一般客。月明かりの下を若宮社までずっと歩いていく。
暗闇のなか、本殿に神さまが戻られる。と、拝殿の電灯が点く。神さまは電気の光がお嫌いなのだろう。明かりが点くのは完全に戻られてからだ。
拝殿で、藤の花の髪飾りをつけた巫女さんたちが神楽を舞う。

全部が終わっても11時前だった。870年つづくお祭だそうだが、こんなに早く終わったことは何回くらいあったのだろう。行列を楽しみにしていた方には気の毒だったが、この機会に還幸の儀を見られた人も多かったかもしれない。  
Posted by olu_project at 23:15Comments(0)TrackBack(0)