「ひろ2実験工房」その2〜ブリコラージュ編
ひろ2実験工房ワークショップ、今回の場所は大正区にあるギャラリー「ブリコラージュ+アートスペースジュウ」(大正区南恩加島2-11-17 http://www.jimoto-navi.com/bricolage/jeu.html)。ここの床はしっかりした木でできていて、扉も分厚い木製だが、軽く手を添えるだけでするすると動く。建て付けの悪い我が家の襖と大違い、と言ったら、「そりゃあ、本職だし…」
ブリコラージュはもともとは家具工房で、工場だったところが改装されてギャラリーになっている(現在でも内装や注文家具を扱っている)。
1階には、木のおもちゃやアクセサリー、陶器、季節の小物が並んでいる。来るたびについつい遊んでしまう。ワークショップの日にも近所の子どもがやってきて、木の包丁と野菜でままごとを堪能し、満足げに帰っていった。
2階はギャラリースペース(7、8月は休み)
展示以外にも演奏会や紙芝居など、さまざま催しがおこなわれる。わたしはブレイクする前の押尾コータローをここで聞いた。
今回のワークショップは「鬱金(うこん)染め」と「灰染め」。
鬱金とはカレーにも使うターメリック(ターメリックは火を通してあるので染色には向かないそうだ)のこと。春鬱金より秋鬱金の方が染色には良いそうで、今回は栽培している人から送ってもらったものを使う。
灰染めは、今回はわら灰で染める。
まず、鬱金で木綿を染めるのだが、実は「木綿は鬱金では染まらない」。
「染まらない」ところがミソで、完全に染まってしまう絹では鬱金染めのありがたみは半減する。鬱金で染めた木綿の黄色は不安定で、日光で簡単に褪色するし、アルカリに合うと赤く変色する。その「不安定さ」こそが鬱金染めの最大の魅力なのだ。
褪色するのは、色素(クルクミン)が少しづつ外に出ていくからで、そのことが防虫効果を生む。その薬効のために、昔から鬱金染めの木綿風呂敷は大切な宝物や経典を包むのに使われてきた。包んでいる風呂敷の色はしだいに失われていく。色が失われたことで防虫効果がなくなったことが目に見えてわかる。薬効を保つためには白くなった風呂敷を再び染め直せばいい。
また鬱金は産着を染めるのにも使われてきた。赤ちゃんが袖口をしゃぶっても鬱金ならば大丈夫、というより、かえって胃腸にいい。汗と混じって皮膚雑菌の繁殖を防ぐし、何かあったときには赤く変色するので異常を見つけやすい。染色としては不安定なことで、センサーの役目を果たすのだ。
生の鬱金をすりおろし、布で漉す。リンゴジュースを作る要領。
そのジュースの中に布を浸けて揉む。布が鬱金を吸うので、はじめに浸けるほど濃く染まる。
幾つかあるバケツの中で赤っぽく染まってしまうものがある。何か、布の付着物が混じってアルカリ性に傾いたのだろう。ひろひろさんが酢を加えると黄色に戻る。ことばで説明されたことが目に見える。実に鮮やかな変化で、マジックか理科の実験を見ているみたいだ。
鬱金染めがひととおり終わると、その上に灰染めを掛ける。
染める前に布をビニールや糸で縛ると、その部分が防染され染め残される。解いたときに思いがけない模様が現れ、楽しい。このあたりから幼稚園児の工作状態になってきた。女性ばかりということもあってわいわい賑やか。
灰を溶かした水の中に布を入れて揉む。鬱金は短期間で定着するが、灰染めはしばらく時間がかかるそうだ。少なくとも一夏はそのまま、水に浸けてはならない。夏を越す、ということにはそれなりの意味があるらしい。
夏を越して秋には、ブリコラージュで泥染めワークショップがある。