”宇宙戦艦ヤマト復活篇”おそまきながらの報告書・その10ーイ

C、Dパートの総作画監督チェックも過激になってきた頃。
8月だったと思うが、スタッフを集め、「Eパートは作画監督Uに総作画監督をやってもらう。」と西崎さんから。
彼も仕方ない風で受けていた。
おまけに古代のキャラ表を再度、彼に依頼していた。
作画監督Uは「いいのかなぁ?」と私に。
「西崎さんの言うことだから、やってください。」と私。
ひとつの劇場作品で大団円を向えるシーンを含むパートが良し悪しは別にして、全く変わってしまうことは、かつて無いし、おそらく今後もないだろう。
作画監督Tも「湖川ちゃん、だめだよ、画が変わってしまう!」と不安を私に投げかけていた。
私としても「大丈夫です。」としか言いようがなかったし、そうなる筈もないという自信もあった。

数日して、作画監督Uの古代のキャラ表が上ってきていた。
しかも「宇宙戦艦ヤマト復活篇」ホームページへも載せていたのだ。
見た方も多いと思う。
後で聞いた話だが、ホームページへ結構クレームが入っていたとのこと。
実際にEパートに入る直前には湖川キャラで行けと、西崎さんに言われたらしく、「湖川ちゃんのキャラでいきます、出来るだけ近づけますから」と作画監督U。
「はい、よろしくお願いします。」と私。
作画監督Uも困惑していた様子だったが、9月の1ヵ月近くは毎日ヤマトスタジオ入りをし、頑張ってくれていました。

仕方ないのだろうかとも思えるのだが、これがヤマトの仕事の複雑さなのだろう。
当たり前の動きなのだろうね。

Eパートが上り始めた頃、途中参加となったチーフ演出Sから、「湖川ちゃん!俺がチェックして、どうしてもと思うカットを渡すから、古代の顔の部分だけ直しを入れて欲しい。」と言われ、勿論即答でOKした。
本来、顔だけでは済まない問題なのだが、何せ、量が半端ではない。
全体的に原画の上りが遅くなっていた状況が、この頃になって集中して上ってきていた事もある。

お気付きの方も多いと思いますが、古代の顔と帽子が合っていないとか、身体とのバランスが不釣合いとかのカットを。
「さらば宇宙戦艦ヤマト」での鼻作監に近い、顔作監でしょうか。


この頃、ある人から、「どうしても湖川さんの手伝いをしたいと言う人がいるんだけど。」と相談を受けていた。
「では、原画とか2原でもいいの?」と聞くと、そうではないらしく、総作画監督補佐的なことのようだった。
それではと、数十カットではあったのだが、お手伝いをお願いした。
私は面識のない方だったが、監督をやられている方とのことでした。
彼の仕事を見せていただいて、今度、お会いして話もしたいが、失礼ながら、作画の伝授も出来ればしたいと強く感じた。
その機会を私は是非とも望む気持です。
お手伝いありがとうございました。



ともかく、こんな状態が9月いっぱい続いて行く。
この頃も、山と積まれたカットを横目には何度か徹夜を結構していた。

そして、また事態が変わった。
撮影後のフィルムを何度もチェックしていたのだろうと思うが、西崎さんに呼ばれ、「Eパートの原画がひどい、ひどい」と言われ、「古代以外を全て直して欲しい」と…。
10月に入ってからの事だった。
今更それは無い話だ。
作画監督Uは全て直して終了しているところ。
彼の立場はどうしてくれるのか?
しかし、お構いなしである。
あくまで原画が悪いと言い通す。

私としては当然の作業と思ってもいたことであるし、直すことは何とも思わないし、作品の為にもなることであるしね。
10月は私の仕事も殆んど終了していたので、良い期日とまで感じていた。
直しの注文が出たカットは勿論だが、私はその機会にラッシュを見て、自ら直したいカットを制作に依頼し、古代も他のクルーも直しを続けた。
結局、全ての作業を終了したのが、10月末となっていた。


11月頭だったと思う。
西崎さんより全スタッフが召集された。
西崎さん「皆さんのおかげでやっと完成しました。ご苦労様でした。」との挨拶がありました。
その後、個別に呼ばれ、「ご苦労様でした」と言葉をかけられ、「Eパートもありがとう」と言われた。
私は、西崎さんからリテークとされていないカットも気になるものも、実は直しましたと告げると、「わかっているよ」との返事。
「う〜ん?」である。

とにかく、無事?終了である。
スタッフの皆さま、本当にお疲れさまでした。



最後に女王イリヤの変化を「”宇宙戦艦ヤマト復活篇”おそまきながらの報告書・その10ーロ」にて!

しかし、また問題が発生した、CDジャケットなのだが…!!
「”宇宙戦艦ヤマト復活篇”おそまきながらの報告書」は11がラストか?

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No title

そういえば、以前聞いた事があるんだけど
「さらば」の後TVで「ヤマト2」を放映する事になった
経緯を聞いた事があるんだけど、あれはTV局
の要請がだったそうで。
西崎氏は「さらば」で作品を完結させるつもりで
いたから、相当渋ったらしいけどね
内容が「さらば」を再構成した様な内容になったのは
話が急で、新しくストーリーを立ち上げる時間が
全然なかったのが、原因だったらしいですね
当時よみうりTVに、勤めていた人から聞いた話
なんでおそらく間違いじゃないんだろうけど・・・
真相はいかに?
西崎氏にも話しを聞いてみたいですねえ・・・

No title

8月の頭にはオールカラーのラッシュ試写が行われているので
それまでに作画はEパート含め一旦全て終わっていたはずです。
8月以降は9月一杯まで8月ラッシュに間に合わせる為に
演出・作画監督込みで外注に出て湖川さんが殆どご覧になれなかった
DEパートのリテーク直しを中心に作業されていたのでは?
また宇田川さんにEパートの総作監をお願いする話は
プロモ配布の視聴者のリアクションが原因ですので6月頃だと思います。
(総監督から古代の顔を直したいと指示が出た頃です)

Re: 87分様

コメントありがとう!

時間があればそうなった可能性はあったでしょうね。
邪道などとは決して思いませんよ。
対称の問題だと思いますので、楽しみ方は人それぞれで良いと思います。
私は作画担当として嬉しいです。

Re: 大和武遵様

コメントありがとう!

そういった意見が多くあることも勿論知っています。
私の中で、ヤマトでの刺激を自身で感じたかったことを否定は出来ません。
デザインは創り方によっては何でも合うとは思うのですが、デジタル多用の中、現在のものに今回は辿りつきました。

Re: 真田信繁(幸村の本名)様

コメントありがとう!

古代も色々ありました。
私もヒゲ古代のままで行くのかと当初思っていました。

「さらば宇宙戦艦ヤマト」では、真田さんの言う通り、セリフがぴったりの群衆がいたので、原画をまったく変えた修正にしてしまいました。
西崎さんは憶えてないと言ってましたので、是非今度見てくださいとお願いしておきました。
復活篇では、そんな精神状態ではありませんでしたし、やる気も起きませんでした。

No title

こんばんわ。
私はUさんデザインの古代は見たことが無いのですが、湖川さんが作画監督をされると知ったときは、当然「さらヤマ」以上の湖川タッチになるだろうと思っていたので、今回の復活編キャラには全く違和感を感じませんでした。
というかスタッフ発表当時は発動編のように殆どの原画を湖川さん一人で担当!みたいなことを勝手に期待したりしてました。

ということで実際に映画を観たときは
「ああ、このシーンは違う、ここは修正してないだろうなあ、あ!このシーンは原画を担当してるな!」
といった少々邪道な鑑賞をしてしまいました。

No title

そういえば、「さらば」では、西崎さんそっくりのキャラが
出てたよなあ・・・。 しかもセリフ入りで(笑)
確か「そうだ!!我々にはヤマトある」ってセリフ
だったと思うんだけど。
復活編でも同じ様な遊びをやってほしかったけど
作画監督の業務が忙しすぎて無理だったんだろうなあ

No title

確かに、今回のヤマトキャラの中で古代のデザインに関しては、反応が凄かったですよね。
私も最初に見たときは、「この古代で大丈夫だろうか・・・。」と思いましたし。

特にヤマトが上映されることが現実味を帯びてきた頃は、激しかったような気がします。
「これは古代じゃない!!」「こんなデザインなら、まだ以前のデザインでやってもらいたかった。」などの意見が多かった印象を受けます。

でもまぁ、結果的には何事も違和感はなく見れましたし、これはこれでアリだなと思いました。

No title

古代のキャラに関しては確かに拒絶反応はすごかった
ですねえ。 湖川さんが作画監督を努めるという事で
ファンの多くは「さらば」に近い絵柄を期待してたと
思うんですよね。 でも実際に発表されたデザインは
従来のものよりリアル志向のキャラだったから・・・
僕は良いと思いましたけどね。
個人的には、ヒゲは剃らないで欲しかったな
最初の登場した時のヒゲを蓄えた古代は渋くて
格好良かったから。

No title

観ていてほぼ全カットに湖川さんのタッチを
見て取れたと思っていたので
修正は全域に渡って入ったのだろうなと思いながら
スクリーンで観ていました

やはり画面を観るとわかります
もう何十年も観続けているのですから!

時間のない中での底上げというか
クオリティ維持の大変さが伝わってきます。

お疲れ様です。

Re: 白蘭花様

コメントありがとう!

身体はいつも態勢を整えておかないと、何が起こるか分からないのが仕事ですからね。
でも、注意はしていますよ。

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