仕事を剥がされる会社は"急な商談"が多い?(by 延)

 今年後半から、啓蒙の意味を込めて数回の無料セミナーを開催してきた。無料セミナーは、主催者にとって、会場費・印刷代・広告宣伝費・飲料など、そのまま赤字となって跳ね返ってくる。それでも、やる意義があると思うからやる。だから、啓蒙なのである。


 そんなことはさておき、無料セミナーを開催して、ふと気付いた点がある。それは、ドタキャンをする申込者に共通の言動が見られたことである。無料セミナーは、文字通り、参加費も必要なく、筆者が主催しているものに限っては、欠席したからといって特段ペナルティーもない。ゆえに、ドタキャンしようがしまいが、申込者にとって損などない。一方、主催する側からすると、余分な印刷費と飲料代くらいは発生してしまうが、一人当たり数百円の赤字になる程度の話である。


 実際のところは、法改正を見据えたセミナーだっただけに、意外と、出席率も高く、申込者の90%以上は出席であった。そんななか、欠席した10%の方に、幾つかの傾向があることに気付いた。一つは、①丁寧に(申し訳なさそうに)具体的な理由を書いて欠席のお詫びのメールや電話を頂くパターン。次に、②事前事後を問わず何ら連絡すらないパターン。そして、注目すべきは③「急な商談が入ったため」とのメールを送ってくるパターンである。


 誰しも急な用は入るものであり、物流業において緊急性の高い問題が発生した場合、最重要事項となることは当然ある。よって、ドタキャン自体をどうこういうつもりは毛頭ない。まぁ~、2番目の一切連絡がない場合はビジネスマンとしてNGなため、論ずる必要すらないと思うが、3番目のパターンに、極めて興味深い公約数があるように感じる。


 というのも、3番目のパターンの会社の多くが、最近、「仕事を他社にとられている」、あるいは、「仕事を剥がされている」との噂を耳にする会社だからである。仕事を取られているのに"忙しい"という状況は、その危機感ゆえに解らなくもないが、仕事を剥がされているのに"急な商談"が入るという状況はちょっと理解し難い。


 無論、商談ゆえに、明日への希望がある話なのだろうと、ご推察申しげたいところだが、残念ながら、その後、剥がされる話を聞くことはあっても、受注したという話を聞くことはない。


 しかも、"急な商談"が入ってドタキャンするケース。同一の人のだけではなく、違うセミナーに申し込んだ同じ会社の他の人も同じことを言うのである。ちなみに、1社だけの話ではなく複数の会社に共通する話。


 数社の事例をもって"法則"などということはできないが、「仕事を剥がされるような会社の社員がドタキャンする時に"急な商談"とのエクスキューズをする」との仮説があるかもしれないという程度のことは言えそうだ。


 まぁ~、冷静に考えてみれば、たかがセミナーとは言え、有料・無料を問わず、ビジネスマナーとして誠意のない対応をする姿勢が、やはり、仕事にも出ているのだろう。そういった視点で、ドタキャンする申込者の言動を観察していると、付き合っていてハッピーにならなそうな会社の予測くらいにはなるかもしれない。そんなことを思った出来事であった。

2009/12/19


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