社長レースに敗れる人の器(by 延)

 かなり前、とある大手物流企業で"できる"と目されていたとある経営幹部が、社長レースに敗れ、他社に変わったことがあった。これ自体は、中堅・大手企業にはよくある"派閥争い"の類である。ゆえに、特筆すべきことは何もない。


 問題はその後である。嘗て、在職した企業に、何かしらの思い入れがあることは人間ならば自然なことである。がしかし、「辞めた後でも自分に情報が入ってくる」と得意げに話していたと聞いて、率直に、「そんなマインドセットだから社長になれなかったのだろう」と感じた。単純にセコい。経営者としての度量がない。そのことを第三者に話している時点でどアホだ。


 いかなる立場にあろうとも、経営陣の一角にいる限り、その会社が良くするためのことしか考えるべきことは存在しない。であるにも関わらず、未練がましく「俺の方が...」と思っている時点でかなり痛い。無論、新しい会社の社員を愚弄する行為であることは言うまでもない。


 ということを全く知らず、社員が、一生懸命、汗を流している姿を目にするとき、心が痛んでならない...。長年、権力の世界で人の浮き沈みを見てきたものとして、おそらく、そういった人は、そのうち、業界から消え去っていくことになる...。諸行無常である。

2009/12/20


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