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「ベースカーゴを活かした"荷主"の物流ビジネス」

火曜日の講座「物流ニュースナビゲーター」では、物流・ロジスティクス業界を対象にしたニュース記事のうち、「要チェック」な記事を1本ピックアップし、その詳細について解説していきます。今回は以下の記事を選びました。


「アマゾン、他社通販の配送代行」
(日経MJ 09/10/19)


このニュースは要約すると、以下のような内容になります。


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アマゾンジャパンはネット通販事業者など向けに配送代行サービスを始めた。対象商品は家電、書籍、アパレルなど、食品以外のほぼ全商品。物流機能をアウトソーシングすることで、同サービスの利用企業は商品の拡充やサイト制作に専念できる。アマゾンは千葉県の物流センターで商品を保管し、全国に向けて発送する。
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今回紹介する記事はネット通販大手のアマゾンジャパンが同業者の物流業務を代行するビジネスを開始した、という内容です。このニュースを見聞きして驚かれた読者の方も少なくなかったでしょうが、筆者からしてみれば、いわば既定路線。書籍市場での販売シェア拡大⇒取り扱い商品アイテムの拡大⇒ベースカーゴを活かして物流機能を外販、というビジネス進化は、ホリエモン風にいえば、「想定内」ということになります。


アマゾンの強みはリアルの物流機能を自社で保有していることです(配送は宅配便会社に、センター運営は3PLに委託していますが・・・)。さらに書籍や家電といった膨大なベースカーゴがある。インフラビジネスの優位点は、完成度の高いインフラとベースカーゴを確保し、損益分岐点を越えてしまえば、あとはそのインフラにのせた分のビジネスは"チャリンチャリン"と自然と儲かるようになることです。まさに今回のアマゾンの新サービスは「チャリンチャリン」の部分に相当するものです。


宅配便や共同物流はこれと同じ発想のビジネスモデルで、物流各社はこれまでそうした仕組みを築こうと努力してきました。それだけに荷主サイドがインフラとベースカーゴを武器に物流を1つの収益源にしようとする今回のアマゾンのような動きは、物流専業者にとって、ものすごく脅威と言えるでしょう。


もっとも、記事にあったアマゾンが徴収する1ヵ月の保管料。1立方メートル当たり7900円という設定は、現在の市場価格からすると、かなり割高なような気がします。中小零細規模の通販会社は物流の知識に乏しいケースが少なくありません。それを知っていての価格設定なのか、それとも適性価格であると算盤を弾いているのか・・・。


著者プロフィール
(かりや・だいすけ) 1973年生まれ。青山学院大学経営学部卒。輸送経済新聞社に入社し、物流業界紙「輸送経済」記者、月刊誌「流通設計」副編集長などを歴任。2001年ライノス・パブリケーションズ入社。同社が発行する月刊誌「ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ)」の編集記者、副編集長を経て、2007年4月に退社。現在、青山学院大学大学院経営学研究科博士前期課程に在籍中(2010年3月に修了予定)。2007年10月より青山学院大学社学連携研究センターに所属。所属学会は日本物流学会、日本海運経済学会、経営情報学会、スケジューリング学会など。2007年、2008年に東海大学海洋学部(国際物流専攻)で招待講義(国際物流特論)。


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