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せんせいのふくぶくろ

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橋下大阪府知事の服装発言に思う

傑作(0)

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　職場で回覧が回ってくる。
　どの業界にも専門の雑誌等はあると思うが、僕の業界は教育業界。時事通信社の『内外教育』というものが回ってくる。
　いつも巻頭の論文だけは読むようにしているのだけど、１月１５日（金）曜日付けの第5964号は近畿医療福祉大学特任教授の岩井忠彦氏の論文で、タイトルもズバリ！『教師と服装』というものだ。（まるで僕のために書いてくれたようなタイトルである。）
　丸ごと転載はできないだろうから、結びの一文だけ引用すると、

（教師は）時と場に応じて服装に配慮することも、教育効果を高める方法の一つ心得るべきだろう。

と書かれている。　
　至極、真っ当な結びである。
　この論文は、最初、新型インフルエンザ対応時の検疫官の物々しい服装を例に挙げて服装が心理に与える影響について述べ、次には、教師が卒業式で礼服を着るから生徒心も引き締まるという具合に論旨が展開されている。
　僕がいうのもおこがましいが、とても常識的な内容が整然と書かれている。
　
　ところで、この論文の中に「教師の服装についての橋下徹大阪知事の発言」というのがあって、前々から気になっていたのだが、昨日やっとそのことを調べるたり考えたりするに至った。
　この関連記事も丸ごと転載はできないからとりあえず、以下のＵＲＬを紹介しておきます。

①「ジーンズ、ジャージー禁止を」＝教師の服装で橋下大阪知事
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009092400908
②ジャージやジーパンで授業　教師の服装「これでいいの」
http://news.biglobe.ne.jp/social/727/jc_091005_7271976987.html

　この手の記事はいつリンク切れが発生するか分からない。
　そこで②について要約する。

１　大阪のある懇談会で
　教師の服装がジャージやジーパンといった私服に近い恰好をしていることを問題視する意見も出た。

２　橋下知事もこれに賛同したかっこうで、
「公務員として働く以上、服装について注意してもいいと思う」と話した。

３　服装問題を提起した吹田市議会議員の神谷宗幣さんも、教師の服装に疑問を感じた一人だ。

４　神谷さんは、「教師は勉強を教えるだけではなく、落ち着いた授業の雰囲気を作るべき。そうすることで、生徒児童たちの学力を高めていけるのではないか。教師の服装を正した方がいいと思うのも、そのため。」と指摘。

と続く。

　ネットの記事なので、まるまる事実はどうかを確かめるすべが僕にはないのだが、
　４における神谷議員の
「教師は、落ち着いた授業の雰囲気を作るべき」には賛成。
　しかし、
「そうすることで、生徒児童たちの学力を高めていけるのでないか」には？が点る。

　②の記事の後半には、
　神谷議員が「教師の服装と学力の関係を明らかにする調査を要望した」とあるが、ここまで来ると、僕など「冗談言うな」と思わざるを得ない。

　まず、極論を言うと、
　教師が着ぐるみを着て授業をしたら生徒の学力が向上したという調査結果がまとまったら、全ての教師に着ぐるみを着せるということになりはしないのだろうか。

　次に、教師の服装とは単なる学力を高めるためのツールなのかということだ。
　そうだとしたら、「こんな服を着ると学力が上がる。」「学力を上げるための教師の着こなし１０のコツ」の世界に突入しはしないのだろうか。

　善意に解釈すると、神谷議員のねらいは本来はそこにはないのではないかと思う。

　ひょっとすると、「学力向上」という「錦の御旗」でも出さない限り、大阪府の教員を説得できないという危機感を彼はもっているのではないかと想像するのだ。
　だとすると、大阪府の教育界は相当病んでいると言わざるを得ない。

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東京メトロの車内広告を見て考えた

傑作(1)

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　僕が勤務している総合教育センターには、着こなし上手の男性が多くいらっしゃいます。
　きちんとした身だしなみの男性の姿を見ていると、自ずと僕もやる気が湧いてきます。
　彼らの中にはJ.PRESSユーザーが何名か居て、Ⅰ型ネイビー・ブレザーや、ヘリンボーン柄Ⅰ型ツイードジャケットの着こなしを見ることができて勉強になります。
　いえいえ！そんな「勉強」ばかりしているわけではないのですよ。真面目に教育の勉強もしていますってば！
　
　あるときには外部講師を招き、道徳教育の講座などを聴講をさせてくれます。
　その講座でAC（公共広告機構）のネタが取り上げられていましたのでご紹介します。
　皆さまは、このような女性を見て、どう思われますか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（※１）
　いいんじゃない？別に。誰かに迷惑をかけているわけじゃないんだから。
　と思われますか？
（後は僕の考えを綴っていきます。）　
　常識的に言って、良くないですよね?!
　何でか？という理由。…最初は理屈で考えていきましょう。
　電車内での携帯電話による通話や大声での雑談は音による迷惑ですし、電車内での地べた座りや泥酔も物理的に通行の妨げになります。（ここまではＯＫ，ですよね。）

　ですが、車内でのメイク。これは少々、厄介です。
　厄介だと言うのは、
　いいんじゃない？別に。誰かに迷惑をかけているわけじゃないんだから。
と言うご本人の返事が予想できるからです。
　残念かつ悲しいことですが「迷惑じゃなければ、何をやっても許される」という認識が昨今、大手を振ってまかり通るようになってきたのは否定でない事実であります。
（そのような人間が増えないようにするのが、我々教員の務めでもありますが。）

　車内でのメイクがダメな理由を一応、言葉で説明しようと試みますと、
　社会通念上、プライベートな空間ですべきとされていることを公共の場でするのはマナー違反である。
　と言うことになります。つまり、
　プライベート（＝私）な行いをパブリック（＝公）の場でするな
ということですね。
　もう少し言い方を変えると、電車内でのメイクは、
　ルール（法令・規則）違反とは言えないけれど、モラル（道徳）として違反している
ということになります。
　とは言え、「社会通念上」の解釈は人によって幅があります。
　ある人にとっては不快な行為も、別の人にとっては不快な行為になり得ない場合がある。
　だから、車内メイクの女性も自ずと、「いいじゃない？別に」「ま、いっか」的、発想に陥ってしまうものと考えられます。

　…おっと、いけません！このブログ。ファッションに関するブログでした。
　都内の電車の中でメイクしている女性を実際に目の当たりにしたときには、正直、僕も驚きを禁じ得ませんでした。
　しかし、です。
　そのような女性が存在している数以上に、世間にはワイシャツの襟元が緩みネクタイが緩んでいるスーツの男性を多く見かけます。個人的に少々、残念に感じているところです。あれは一体、どういう訳なのでしょうか？

　ご本人は「これでいいものだ」とお考えなのでしょうか。（きっと悪気はないのでしょう。）
　或いは、いいんじゃない？別に。誰かに迷惑をかけているわけじゃないんだから。とでも、お考えなのでしょうか。

　その方の事情を、僕なりに想像してみることにします。
　例えば。
　体型が変化してきたとか、クリーニングを繰り返しているうちにシャツが縮んだとかいう事情かもしれません。
　では、ですよ。
　だったら、体型を元に戻す努力をすればいいのにな～とも思いますし、それが叶わなければ、体型に合ったシャツに買い換えればいいのにな～とも思います。

　会社勤めをする成人男性（＝「いい大人」）が、通勤や勤務の時間に、緩んだシャツと緩んだネクタイで装う事は「やってはいけないこと」の部類なのではないですか。僕は、そう考えます。

　世の中には、このような装い方を「着崩し」と呼び、肯定する向きがあるようだけど、それは「着崩し」ではなくて単なる「崩れた着方」だと僕は思います。（※２）

　仕事の能力とは別。（＝「仕事ができるから」と言って許されることにはならない。）
　人柄とも別。（＝「優しいから」と言って許されることにはならない。）
　それらとは別の次元で、大切にしなければならないことがこの世にはある。（※３）
　理屈や言葉では上手く説明できない何かがある。
　僕はそう思っています。

　話を最初に戻すと、きちんとした着こなしの男性の姿を見ると、こちらまでやる気が湧いてきます。

※１　公共広告機構ＨＰより。
東京メトロが「家でやろう」とでも呼びかけない限り、それが悪いことだという認識がされにくい世になってきました。
※２　だいぶ以前の某ドーナツのコマーシャルで、我が子をやたらとチヤホヤしているお客の姿を見た従業員Aが「親ばかですね～」と言ったところを、所ジョージ扮する店長が「違う！ただの馬鹿な親だ！」と看破していた。「見事！」と喝采を送りたい。
※３　勿論、諸事情のため首周りの自由を確保しなければならない方においては、この限りではありません。
※４　みのもんた氏は、バーのお店の女の子を口説くときに、わざと目の前でネクタイを緩めて見せて「心を開いていることを暗示する」というテクを使うらしい。
　
【参考】制服は着崩すのときちんと着るのどちらが良いですか？
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1114505296

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「女の定番図鑑」ってあまり聞かない

傑作(0)

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　おととい、歯医者の待合室でマガジンハウス社の『an-an』を読んで時間潰し＆情報収集をしていた。
　最新号の特集は『一点♡ギャル主義』。

　最新の「ギャル」の流行アイテムやメイクの仕方などが載っていて、40歳の大台を越えた僕などが見ると、目がチラチラしてくるし、頭もクラクラしてくる。
　それにつけても、いつも感心させられるのは、女子の「今よりも１㎜でも可愛く見られたい」という飽くなき欲求である。
　同時に、めまぐるしく変わる女子の流行の揺れの激しさにも驚かさせる。

　男女間で流行の変化する速度が異なるのは、きっとファッションに求める物が男女によって異なるからだと想像する。
　以前にも、ちらりと書いたけど、漫画家、けらえいこ氏の言うことにゃ、
「（美容室に行くときに）男は戻りに行くけど、女は変わりに行く」のである。
　髪型にしても、服装にしても、男は過度な変化を好まない生き物だと言っていいかもしれない。

　そう言えば、「男の定番図鑑」「定番グッズ」のような本や品の話はよく聞くけど、女性のそれについては、あまり聞かない。
　男のファッションの変化は緩やかだから、その結果、良い物を長く使おうという考えも自然に身に付いてくる。（※１）
　
　かつて女性のファッションに見られた、「ぽっくり」さながらの『厚底サンダル』などを男に預けて使わせると、そぉーっと大事に使って３０００年くらいは履き続けるかもしれない。

　もっとも、あの厚底サンダル。今となっては、どこで売っているかもまるで想像できない。
　あの厚底サンダルは一体どこへ行ってしまったのだろうか？

　女性の流行は儚（はかな）い。そして厚底サンダルなど、もう誰も履（は）かない。

　以前、僕がよく行くJ.PRESSの男性店員のAさんのことを「いっつもおんなじカッコウしている」と半ば揶揄（やゆ）気味に書いたことがある。
　Aさんはロンドン・ストライプのシャツがトレードマークで、それが古くなるとまた同じロンドン・ストライプのシャツを買い求めるのだ。
　でも、僕も結構、Aさん的要素が強いことをここで告白しておく。
　お気に入りのaが古びてくると、同じ売り場に行き、まずはaが無いかと探すことが多いのは、実は、他ならぬ僕なのである。

　リーガル・コーポレーション製のビーフロール・ローファーなどが僕の私物のその典型である。
　大学生の頃に「初代」を買って履き潰し、20代半ばで全く同じ製品の「２代目」を買って履き続け、それが古くなったので、去年捨てようかと思ったのだけれど、リーガルの店長と相談したところ、彼を介して色の塗り替えと底の張り替えを別の業者に頼んだら、まるで新品同様になって蘇って来た。
　

　そういうことで、このローファーは何度目かは分からないが、首を長くして新しい春を待ちわびているのである。

　それにしても、このローファー。今見てもデザイン的にちっとも古くない。
　20年前と比べて、ちっとも変わっていない。だから多分20年経っても（平成42年だぞ！）変わらないだろうと容易に想像できる。
　ついでに言うと、僕の私物、VANヂャケットのチェック柄ボタン・ダウン・シャツも実は２代目だけど今見ても、ちっとも古くない。

（って言うか、こんなデザインのシャツ、平成22年のユニクロで「新製品」として普通に売っているし、お客も普通に買っている。）
　勿論、今でも休日に普通に着て、愛用しております。愛してるよ～♪

　自称「ギャル」の皆さんは、20年後、一体どんなファッションに身を包んでいるのだろうか？そして、一体どんなメイクをしているのだろうか？
　定番好きの男子にとっては、それはもう、想像を絶する異次元の話である。

※１　とは言え、僕のブログを訪れてくださる或る同年代の女性のブログを見ると、上品でシンプルで機能的なバッグを丁寧に使っている様子が分かる。女性だって「シンプルで質の高い」定番的な物を好んでいる方が多いのだ。

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Vゾーンづくりとお手本文化　～慣れるより倣え～

傑作(0)

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　以前、ブログのお友だちであるオリグチ様から、僕のVゾーンのコーディネートについて「お手本のよう」という評価をもらったことがある。
　今日は、メンズ・ファッションにおける「お手本」について考えてみたい。

　「お手本」というのは、教育の世界でもよく使われる言葉である。
「学（まな）ぶ」は「真似（まね）ぶ」から生まれた言葉であり、
「習（なら）う」は「倣（なら）う」から生まれた言葉である。
　
　何かを学ぶときに、未知の状態（＝ゼロの状態）から試行錯誤を繰り返し、方法論を発見していくというのは、実に効率の悪いやり方である。時間も労力も無駄が多い。
　又、或る意味、先人の経験を蔑（ないがし）ろにしている「暴挙」であるとも言える。
　逆に、既にある「お手本」をそっくり、そのまま真似るというのは、かなり効率の高い学習法であると言える。

　皆さんも記憶にあると思うが、小学校１年生で平仮名や漢字を学習したとき、或いは、小学校４年生でローマ字のアルファベットを学習したときなどの「初期の段階」では、帳面に薄く印刷された「お手本」を「なぞる」ところから始めたのではないだろか。
　これが学びの定跡である。

　北野武氏が、アメリカの映画『JM（ジェイエム、Johnny Mnemonic）』に出演する際、一流の英語の先生に付いてもらってレッスンを受けたという話を聞いたことがある。

　そのレッスンの内容であるが、A,B,C…の発音を、先生が繰り返した上で、自分の唇の動きを北野氏に見せ、とにかく、それを真似るように要求したらしい。
　例えば、Mだと、先生がゆっくりと「エンム」「エンンム」と発音して見せ、それを「そっくり」「そのまま」忠実に、北野氏に再現するよう求めたのだとか。

　日本の学校教育の「習字」で言うと、とにかく「楷書」で正しく書け、みたいな話ですね。
　毛筆は、小学校３年生から始めるのだけど、小学校６年生までは、とにかくきっちりした「楷書」が手本であって、やや崩した字体の「行書」は中学校１年生に入ってから指導することになっています。
　これは、基本である「楷書」を綺麗に書けずして、応用である「行書」や「草書」の上達はあり得ないからという極めて単純な話だと僕は捉えています。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（※１）

　メンズ・ファッションの世界でも話は同様。
　基礎無くして応用無しである。

　今日は２月９日。
　立春（2月4日）と雨水（2月19日）の中程である。
　僕の部屋の窓からは、雪ならぬ雨がざんざか降っている様子が見て取れる。
　春を間近に控え、間もなく、社会人デビューという若人（わこうど）たちも多いだろう。
　若者たちよ。
　どうかスーツを着るに当たり、モード系ではなく、トラッド・ブランドやトラッド系セレクトショップのVゾーン・コーデを優先して学んでほしい。

　ビジネス・ウェアのVゾーンのコーディネートで言うと、現在は、クレリックシャツやナロータイなどが流行っている。
　流行だから仕方ない面があるとは言え、心ある者は、やはり、基本である白いシャツ、普通幅のネクタイ、しかもトラッド柄のネクタイから始めて、その範囲の中で如何にお洒落に見せるかを考えた方が、お洒落の上達は早いものだと確信している。

　我田引水（がでんいんすい）かつ自画自賛（じがじさん）気味になるけれど、僕のブログのVゾーンなども参考になればこれに勝る幸いはないと思っている。
　何と言っても失敗が少ないし、最短距離で応用力も備わってくるものと信じている。
　また、余計なことかも知れないが、失敗が少ないということは、無駄な出費が抑えられるという意味でもある。
　お金は大事だ。アヒルも、そう言ってる。

※１　書道教室　日本習字常盤支部:2009年12月より
　　　http://syodo.exblog.jp/m2009-12-01/

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それでも彼にネクタイを贈りたい貴女へ…

傑作(0)

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　こんばんは。
　当ブログにお越しくださってありがとうございます。
　僕、わったと言います。

　バレンタイン・デーが近付いていますね。
　意中の男性にチョコレートを贈ろうとお考えになっている女性も多くいらっしゃることでしょう。
　加えて、＋αで、「ネクタイ『でも』贈ろうか」というお考えの女性もいるんじゃないかと思います。

　今日は、そのネクタイについて、お話をさせていただきます。

　僕のブログによくご訪問＆コメントいただいているikebouさんが、
　女性が男性に贈り物をするのに革の小物くらいなら構わないけれど、ネクタイは鬼門である（＝是非、避けるように。）という記述をご本人のブログでコメントされていて、僕も「我が意を得たり」という気持ちになりました。
　
　繰り返しになるのですが、お洒落な男性に対して、女性がネクタイを贈るという行為は相当に困難度の高い事業だということを僕の口からも強調しておきます。
　（ただし、それ程、お洒落とは言えない男性に贈るのであれば、この限りではありません。あなたが贈ってくれたのであれが、彼はきっと何だって喜んでくれることでしょう。）

　とても困難度が高いことですからネクタイは止して、他の物を贈った方が無難ですよということを、改めて念押ししておきます。

　え、まだ諦めない？
　そうですか。
　では、その熱意に敬意を表して、僕も微力ながらお手伝いをさせていただきましょうか。

　では、いきますよ。
　ネクタイ選びは相当に難しい。
　まずは、このことを、しっかりと肝に銘じておいてください。

　どのくらい難しいかと言うと、マリナーズのイチロー選手にバットを贈るくらい難しいのだと理解してください。
（多くの女性は野球をしないでしょうし、バットを振ってボールを打ち返すなんて経験はまずないでしょう。ましてや相手は美意識の塊（かたまり）のような男、イチローです。）

　何を伝えたいかと言いますと、ネクタイ選びの際に、ネクタイ単品の色や柄だけで選んではいけないという事です。
　ちょうどバットを色や柄だけで選んではいけないのと同様に、です。
　
　ikebouさんもおっしゃっていますが、男性のVゾーンはネクタイに加えてシャツとジャケットの３つで構成されています。
　だからネクタイを選ぶにあたっては、単純に単品の魅力に魅せられることなく、３つの色柄と、それらが織りなす形の調和を冷静に考えなければならないのです。

　ネクタイ選びに際し、事前に、次の３点ついて確実に把握しておいてください。

　①彼が普段よく着ているスーツの色
　②彼が普段よく着ているワイシャツの色と襟の形
　③彼が普段締めているネクタイの締め方

　なぜ、ワイシャツの「襟の形」が関係あるのかと申しますと、ネクタイのノット（＝結び目）との相性があるからです。
　…この調子で、延々とネクタイの話を続けても多くの女性は退屈に感じることでしょうね。
　ごめんさない。
　つまり、女性がネクタイを選ぶことの難しさの根本には、女性はネクタイを自分で締める経験がないという事実にあると言えます。（※１）

　先を急ぎましょうか。
　望ましいのは、彼の普段のスーツ姿の写真を、そのまんまネクタイ売り場のお店の人に見てもらうといいでしょう。
　売り場の方はプロですから、あなたの目で見ている以上に、その写真から多くの情報を読み取った上で、よりベターな物を何点か勧めてくれる筈です。
　その上で、その中の何点かから、あなたの好みによって１点を選ぶとよろしい。
　勿論、アドバイスを仰ぐ際には、彼の職業や職種を事前に伝えておくことは言うまでもないことです。

　おまけになりますが、勧めてくださったネクタイ売り場の方に、どうして、これを勧めるのかについても、それとな～く尋ねておきましょう。（※２）

　老婆心ながら。
　何点かの中から１点を選ぶ際には、愛する彼の為にも「あなたが彼に締めてほしいと願っているネクタイ」よりも「彼が締めたがっているであろうとあなたが想像するネクタイ」を優先させてくださいね。

　そして、最後に一つ。
　男性は、刺繍やチェック柄からブランド名が読み取れる物を身に付けることを「好む派」とそのことを「嫌う派」の２つに分かれます。
　普段の持ち物から、彼が「どっち派」なのかについても探っておくことをお勧めしておきます。

　え？
　彼の好きそうな、色や柄について一切触れていない？
　大丈夫です。
　ここまでお読みくださった程の貴女です。
　彼が日頃締めているネクタイの色柄の好みなど、とうにインプット済みのこととお察し申し上げます。

　ここまでお読みくださいまして、ありがとうございました。
　良いご報告をお待ちしております。

※１　出石尚三・著『男はなぜネクタイを結ぶのか』（新潮新書）にもikebou氏の意見と同様の記述がある。
　　「一般に女性がネクタイを選ぶときは、ネクタイの美しさそのものを見る。ところが、男は、Vゾーンでの調和を考える」。（同書P72）　
※２　ここまでお読みくださった程の女性である。
　　　ネクタイをもらった彼は、一通り喜んだ後に、どうして自分の好みが貴女に理解できたのか知りたくなるはずだ。
　　　そこで、「どうして僕の好みが分かったの？」と尋ねるはず。
　　　お洒落にうるさい男性は、得てして理屈っぽいのものだ。
　　　そこで貴女は、ネクタイ売り場の店員から教わった理屈を自分の意見として笑顔で述べればよろしい。
　　　彼はきっと、貴女の鑑識眼と心遣いに痛く感動してくれるはずである。