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スクランブル:広島市、5小学校の統合検討 /広島

 ◇市教委「児童が切磋琢磨の機会を」

 ◇住民「地域教育の機会奪われる」

 広島市教育委員会が小学校5校の統合を検討する素案をまとめた。市教委は「少子化で小規模化した学校では、児童が切磋琢磨(せっさたくま)する機会が少なくなるため」と説明する。これに対し、保護者や地域住民が「地域に根ざした教育の機会が奪われる」と反発している。市教委は住民説明会などを予定するが、難航が予想される。統合検討対象校の地元を歩いた。【樋口岳大、矢追健介】

 市教委は1月21日、市議会文教委に素案を示した。素案は(1)将来目標の「1クラス20人以下」で換算し、学級数が11以下になる(2)5年後にも同様の状態が予想される--との条件にあてはまる学校を「適正配置検討対象校」に選定。さらに、近隣に受け入れ可能校がある基町小(中区)など小学校5校が統合の検討対象として浮上した。

 広島市立小の児童数はピーク時の82年度の10万6253人から、09年度には6万7026人にまで減少。市教委は、学校の小規模化で児童が相互に刺激し合う機会が少なくなることや、限られた財源での施設の効率的な整備・充実などを「適正配置」の理由として挙げる。

 住民側は猛反発。基町小校区の住民でつくる「基町小学校統廃合の白紙撤回を求める会」会長の徳弘親利さん(68)は「地域の子どもから『おいちゃん、学校なくなるんね』と泣きながら言われた。個々の学校の実態も調べもせずに作られた素案は、机上の数合わせにすぎない」と批判する。

 徳弘さんは72年の開校時から同校を見守ってきた。市営、県営住宅からなる校区内は高齢化が進む。同校は高層の市営住宅から見下ろされるようにして建っており、徳弘さんは「学校から聞こえる子どもの声が、高齢者の癒やしになっている」と語る。

 住民も積極的に学校運営を支えてきた。05年に安芸区で小1児童が殺害される事件があった後からは、高齢者ら約200人が「基町ふれあい安全推進隊」を作り、登下校の見守り活動を続けている。

 地域特有の事情も。同校は中国残留邦人の子孫ら外国にルーツを持つ児童が約4割を占める。このため教員5人体制の日本語指導教室を設け、児童を手厚く支援し、国際平和教育にも力を入れてきた。「統合でこうした基町小の特色が失われる」と、保護者らに危機感が広がっているという。徳弘さんたちは校区内の約3000世帯、約6000人から署名を集め、市議会に白紙撤回を請願する予定だ。

 一方、市教委は2月末までホームページで素案への意見を募集している。

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 ◆統合検討対象になっている小学校と児童数(09年5月現在)

       統合検討対象校  統合受け入れ校

 ◇中区

       基町 140    白島 410

 ◇安佐北区

       井原  36    高南 186

       志屋  12

      小河内  15    飯室 135

       久地  30

毎日新聞 2010年2月22日 地方版

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