【ワシントン斉藤信宏】トヨタ自動車の大規模リコール(回収・無償修理)問題に絡み、北米トヨタが09年7月の社内文書で「07年に実施したフロアマットの欠陥に関するリコールの台数を5万5000台に抑えたことで1億ドル(約91億円)超の費用を節約できた」と報告していた、と複数の米メディアが21日報じた。
文書は、北米トヨタの稲葉良※(よしみ)社長がワシントン事務所の仕事ぶりを評価したもので、24日に豊田章男社長が公聴会に出席する米下院監視・政府改革委員会も同様の文書を入手しているという。米議会でトヨタへの批判が強まることは必至と見られ、公聴会で豊田社長への追及が厳しさを増しそうだ。
トヨタは、アクセルペダルが戻りにくくなるとして、07年9月に主力車種の「カムリ」など5万5000台を対象にフロアマットのリコールを実施したが、09年10月には対象を8車種計426万台と過去最大規模に拡大。さらに今年1月にはアクセルペダル自体の欠陥も見つかったとして230万台のリコールを実施している。
文書は、07年のリコールについて「トヨタに有利な結果を生んだ」と指摘。「節約した費用は1億ドルを超えた」と明記しているという。同委員会の筆頭理事、アイサ議員(共和)の広報担当は「リコールをめぐるトヨタと米監督当局とのやり取りについて疑問が生じており、公聴会で明らかにする必要がある」とコメントした。
一方、北米トヨタは「我々は顧客の安全を最優先にしており、一つの内部文書だけで(安全よりコスト優先などと)結論付けるのは適切ではない」とのコメントを発表した。※は目へんに見
毎日新聞 2010年2月22日 12時13分(最終更新 2月22日 13時01分)