韓国で新生児集中治療室が不足する理由

【特集】子供を産むのが怖い

1床につき年4200万ウォンの赤字

「病院経営者は未熟児小数を減らす傾向」

 40床の新生児集中治療室(NICU)を抱えるソウル峨山病院は、NICUのために年間約15億ウォン(約1億1500万円)の赤字を出している。ほぼ規模が同じソウル大学病院やサムスン・ソウル病院、セブランス病院なども同様の状況だ。

 昨年の大韓病院協会の調査によると、NICUは「医療スタッフが24時間待機」「未熟児専門小児科医が常駐」「新生児一人に対し、ほぼ一人の看護師がつく集中治療システム」などの環境が必要なため、1日の入院代の原価は約22万7000ウォン(約1万7400円)になるという。しかし、国民健康保険が支給する1日の入院代は約14万ウォン(約1万700円)。このため、大韓新生児学会は「1床当たり毎年約4200万ウォン(約320万円)の赤字になる」としている(2008年の調査による)。

 未熟児の治療に欠かせない保育器を1日使用する場合の医療点数は1万ウォン(約770円)だ。「中型車の1日のレンタル料は10万ウォン(約7700円)だが、命を救う保育器はその10分の1にしかならない」と小児科学界はこぼしている。小児科専門病院「ソファ児童病院」のイ・ソンシク院長は、「病院経営者の立場から言えば、未熟児用の床数は減らしたいところ。だが、今は泣く泣く経営している」と話す。

 こうした事情から、未熟児治療を専門にしようという小児科医は年に6-7人しか誕生していないのが現状で、年々減っている。医師は、比較的収益がある小児アトピーや小児肥満関連分野に集中している。

 日本政府は1999年から、未熟児治療システムに大々的な投資をしている。地域ごとに未熟児集中治療センターの設立を支援、重症度別に移送病院を事前に決め、病院間ネットワークシステムを構築し、病床状況の情報を医療スタッフが共有できるようにした。空きベッドを最大限に活用するためのもので、韓国のように妊産婦が自ら未熟児受け入れ病院を探すようなことはない。日本の大学病院のNICUでの1日の入院代は8万5000円で、韓国よりも約6倍高い。

金哲中(キム・チョルジュン)医学専門記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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