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きょうの社説 2010年2月22日
◎輪島港の客船誘致 「空の玄関口」も生かしたい
輪島港を埋め立て、1993年から進められてきたマリンタウンプロジェクトで、中核
施設の客船岸壁が5月に供用を開始し、大型クルーズ船の受け入れ体制が整うことになった。岸壁の目の前には朝市や輪島塗の工房長屋などがあり、歩いていける範囲に観光資源が 集中する輪島港は、客船を誘致しやすい環境にあり、日本海側を代表する寄港地になり得る可能性を秘めている。岸壁供用初日の「にっぽん丸」に続き、9月までに「ふじ丸」「ぱしふぃっくびぃなす」の3隻の寄港が決まったが、旅行客の評価を得られれば、さらに増やす余地がある。 3隻はいずれも日本一周クルーズだが、その中には能登空港を利用した半周コースも企 画されている。これは市内に海と空の「玄関口」を擁する輪島の優位性を示している。航空機と船舶を組み合わせた「フライアンドクルーズ」は可能性のある分野であり、客船誘致では能登空港を生かした戦略も練っていきたい。 輪島港マリンタウンプロジェクトは国、県、市が一体で取り組み、交流施設やスポーツ 、海洋レジャー施設なども整備される。漁港のイメージが強かった輪島港の機能が大幅に拡充され、能登の「海の玄関口」としての期待も大きい。とりわけ、客船誘致は地域活性化の大きなかぎを握る。 大型船であれば乗客は数百人規模となり、1人当たりの消費額も大きく、一定の経済効 果が期待できる。何より、華のある客船の拠点港としての知名度が定着すれば、輪島や能登全体の観光地としてのブランド力が高まることになろう。 初年度には国内の主要客船が早速、お目見えする。歓迎イベントに工夫を凝らし、地域 挙げてもてなす体制を整えたい。実績を積み上げるとともに、船舶会社や旅行会社に魅力的なプランを地元から積極的に提案する必要がある。 船舶を呼ぶ込む取り組みは、港を生かした地域づくりの原動力になる。能登半島先端の 「海の玄関口」を強力にアピールするためにも、客船だけでなく、航海訓練所の帆船や海上自衛隊、海上保安庁の艦船などの誘致も目指したい。
◎「竹島の日」 領有権の主張続けねば
島根県が条例で定めた「竹島の日」がまた巡ってきた。竹島が同県に正式編入された1
905年2月22日の告示日から100年を記念して制定され、今年で5回目を迎える。竹島は国際的にも認められた日本領土だが、戦後の混乱期に韓国によって不法に占拠された。それを現在まで放置してきた政府の姿勢が問われる日でもある。領有権の主張は本来、国が先頭に立って取り組むべき問題のはずである。だが、「北方 領土の日」に比べても政府の腰は重く、竹島の日の式典も島根県だけが行っているに過ぎない。韓国への過度な配慮が、領土問題の解決をより難しくしている。せめて竹島の日ぐらいは、声を大にして領有権を主張する日にしたい。 竹島は明治時代に閣議決定で島根県に編入され、国際法上、正式に日本の領土となった 。戦後、日本の領土を規定したサンフランシスコ講和条約でも、改めて日本領土と認められたにもかかわらず、韓国の李承晩大統領(当時)が、サンフランシスコ条約発効の直前、一方的に「李承晩ライン」を設定し、領有を宣言した。韓国は以来、半世紀にわたって国際法上何ら根拠がないまま不法占拠を続け、警備員を常駐させている。 政府は平和的解決を目指し、竹島の領有権問題を国際司法裁判所に付託することを韓国 側に提案しているが、韓国はこの提案を拒否し続けている。国際司法裁判所は、紛争の両当事国が裁判によって解決を求めるという合意があって初めて動き出す仕組みであるために、領有の根拠を持たぬ韓国は裁判に応じようとしないのである。 韓国側は、不法占拠という事実から目をそらし、日本が領有権を主張するたびに、国を 挙げて大騒ぎをして、日本を一方的に非難してきた。日本側が抗議以上に踏み込んだ対応をしないのは、そんな韓国をうとましく思い、刺激したくないとの判断からだろうが、そうした過度な配慮は韓国側を勘違いさせるだけである。政府は竹島の日を国の行事として祝う方向へカジを切り、領有権を強く主張する契機にしてほしい。
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