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「竜宮からの使者」たびたび漂着 日本海側 深まる謎

2010年2月21日8時59分

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写真:福井県で見つかったリュウグウノツカイ=3日、越前松島水族館提供福井県で見つかったリュウグウノツカイ=3日、越前松島水族館提供

図:  

 年1、2匹が見つかるかどうかの長大な深海魚、リュウグウノツカイが昨秋以降、日本海沿岸に相次いで漂着している。各地の水族館や水産センターが確認しただけで少なくとも19匹。生態はほとんどわかっておらず、昔から「大漁の吉兆」「地震の前触れ」などと各地で言い伝えがある。今季に限ってなぜなのか。謎は深まるばかりだ。

 「長年、水族館に勤務してますが本物を見たのは初めて。大きさに驚きました」。福井県坂井市、越前松島水族館の笹井清二飼育員(38)が3日の出来事を振り返る。

 福井新港で釣りをしていた男性から「リュウグウノツカイがいる」と連絡を受け、駆けつけると、長さ3.61メートルの魚が消波ブロックに引っかかって死んでいた。メスと思われる。1月31日にも近くの海岸に漂着しており、「珍魚が続けて見つかるなんて」と笹井さんは不思議がる。

 竜宮城からの使い、との言い伝えがあるリュウグウノツカイは硬骨魚類としては世界最長。細長く、大きいものでは10メートルほどになる。世界中の外洋の水深200メートル以上に生息するとみられる。

 各地の水族館や水産センターによると、昨年11月20日に松江市沖で弱って漂っていた4.3メートルのリュウグウノツカイを釣り人が引き揚げて以来、石川県や富山県を中心に少なくとも8府県で19匹。確認していないものの、見たという報告を含めると40匹近く。ほとんどが発見時にすでに死んでいたり、発見直後に死んだりしている。

 それにしても、なぜ、今季に限って相次ぐのか。

 越前松島水族館の稲木明浩副館長は「遊泳力の弱い魚なので、荒れた冬の日本海で海水がかき回されたせいだろうか」と話す。だが、日本海が荒れるのは今年に限った話ではない。

 深海魚に詳しい尼岡邦夫・北海道大名誉教授は「元々暖流域にすむ魚。日本海では最近、今まで取れなかった南の魚が水揚げされるなどの報告が多い。海水温の上昇と関係があるのかも」と推測する。

 千葉県立中央博物館の宮正樹・上席研究員は「そもそも、どこで産卵し、どう成長するのかも分からない。なぜ、これほど見つかるのか理由を特定するのは難しい」と話している。(浅見和生)

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