【第114回】 2010年02月18日
歴代首相が鳩山総理を“脱税王”と追及できない理由
きょう(2月17日)鳩山首相が内閣総理大臣として初の党首討論に臨んだ。
思えば11年前(1999年11月10日)、日本初の党首討論は、当時、野党・民主党代表の鳩山氏と、小渕恵三首相との間で行われたものだった。
「小渕総理、総理は今朝何を召し上がってきたのでしょうか。私は熱いピザを食べてきました。こんな質問なら官僚の助けを借りずに答弁できるでしょう」
当時、筆者も在籍していたニューヨークタイムズ紙では、経済政策等ではっきりと方針を示せない小渕首相を揶揄して、「冷めたピザ」と称した。それを意識したのだろうか、鳩山首相はこう語っていたのだ。
さらに党首討論で鳩山氏は、自民党内の「政治とカネ」の問題を追及し、政治献金問題を抱えた小渕首相に質問を繰り返した。
きょうの党首討論を考えれば、なんという皮肉だろう。それだけではない。景気の後退を受け、株価も下落、厳しい財政運営を余儀なくされていた小渕首相の苦悩は、そのまま現在の鳩山政権にも当てはまる。
予算規模は過去最大の92兆円超にまで膨らみ、44兆円もの国債発行を余儀なくされている鳩山首相は、ようやく小渕首相の苦しみに気づいたことだろう。
税金を払うのが
バカバカしいとの批判
政権交代がなされてから150日が過ぎようとしている。ハネムーンはとっくに過ぎ去り、記者クラブメディアからも批判の声が聞かれるようになった。とりわけ鳩山首相には政治とカネの問題がずっとついて回っている。
党首討論の冒頭、谷垣禎一自民党総裁はこう切り出した。
「新聞にはいろんな方の反応がでております。けさの産経新聞には『納税がバカバカしい』、こういう反応もありました。昨日の読売新聞の夕刊では、『知らなかったで許されるのはおかしい。開き直らないでと怒った』とか、『首相がこれまで払わなかったのだから自分たちもいいのでは』という声が出ております。こういう批判に対して、総理はなんとお答えになりますか」
世間では確定申告が始まっている。フリーランスの文筆業である筆者にとっても、この時期は実に腹立たしい季節である。政治家の納税ごまかしや官僚たちの無駄使いは取材を通して実感している。そうした公人たちに「給料」を払っているのだと思うと、なおさら納税意欲が失われるのは確かだ。
Special Topics
新着トピックス
- 野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
- 日本でのみ需要が増えず物価が下がる理由──今こそ必要なデフレの経済学(2)
- 岸博幸のクリエイティブ国富論
- 労働組合の顔色ばかりうかがう 民主党の政策が日本をダメにする
- 日本を元気にする企業の条件
- フマキラーのインドネシア事業が証明した ポストBRICsの40億人「BOP」市場の可能性
- 働き盛りのビジネスマンを襲う 本当に怖い病気
- 妻の突然死から不眠、うつに!? 抗うつ剤でも治らない“落ち込み”の正体
- 追跡!AtoZ ~いま一番知りたいテーマを追う!超リアルドキュメント
- 遺伝子タイプでメダルの色が変わる? 「金メダル遺伝子」を探せ!
- ビジネスモデルの破壊者たち
- 脳科学まで活用し相性マッチング! 米国発“出会い系サイト”の大進化
- inside
- 日本の予防接種法改正論議に新型インフル騒動は生きず?
- チャンスを逃さない! 今どき「住活」事情 By SUUMO(スーモ)
- 住み替えや購入の新トレンド到来? 「中古+リノベーション」の隠れた魅力
- デジトレwatch
- 意外なニーズで火がつく可能性あり? 「3Dテレビ」は本当に普及するのか
ダイヤモンドオンラインplus 知っておきたい価値ある情報
最新の連載一覧
経済・時事
経営・戦略
スキル・キャリア
Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます
- 公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略
- 東1上場の98.4%が「ドンブリ原価計算」!? 大企業が“正しい決算書”を作らない理由
- 『週刊ダイヤモンド』特別レポート
- 保育園業界のムダと闇――社会福祉法人はすべて善で株式会社はすべて悪なのか
- 『社会貢献』を買う人たち
- 成功する合コン、成功する婚活 のための最終兵器!?――「社会貢献」で「恋」をする!
- 『週刊ダイヤモンド』特別レポート
- 増えぬ新規参入 減らぬ待機児童 保育園問題の不合理
- 技術者が「派遣ズレ」していく
- 「いらっしゃいませ」と歓迎してくれた日本的な礼儀を心得ているベトナムの技術者は…
- DOL編集部のツイッターを開始
- 最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。
Business information
- 【募集】「一流の人材」の条件とは? 一流の人材を募る企業、育てる大学院
- 【教育】子どもの理解度に合わせた個別指導で有名校合格実績を上げる学習塾
- 【募集】ビジネスマンの「歯とお口のケア」事情。抽選で書籍プレゼント!アンケート実施中
- 【解決】会社を元気にするヒント満載のフェア、東京・名古屋・大阪で開催(無料)
- 【募集】年収ダウン、増税…こんな時代を生き抜く知恵は?アンケート実施中<2/21まで>
著者プロフィール
- 上杉隆
(ジャーナリスト)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」「世襲議員のからくり」「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」など著書多数。最新刊は「民主党政権は日本をどう変えるのか」(飛鳥新社)。
この連載について
永田町を震撼させる気鋭の政治ジャーナリスト・上杉隆が政界に鋭く斬りこむ週刊コラム。週刊誌よりもホットで早いスクープ情報は、目が離せない。
「お腹の調子が悪い」と政権を投げ出した安倍首相。「あなたとは違うんです」と逆ギレして職を辞した福田首相。そして漢字と空気が読めず政権崩壊寸前の麻生首相。この国の政治の混迷とメディアの体たらくを上杉隆が斬る。1500円(税込)
- DOLブックストアで購入
購入金額に関わらず送料無料! - Amazonで購入
アクセスランキング
- 1位
- 週刊・上杉隆
- 歴代首相が鳩山総理を“脱税王”と追及できない理由
- 3位
- Close-Up Enterprise
- 暗中模索のウィルコム問題 最後のPHS事業者の末路
- 4位
- 業界別 半年先の景気を読む
- なぜ「iPod」「ヒートテック」が 大流行しているのか
- 5位
- 目標=1ヵ月でウエスト5cm減 あなたも挑戦!脱メタボへの道
- 食事に関しては、たった3つの約束を守るだけ
Recommend 話題の記事
- 週刊・上杉隆
- 歴代首相が鳩山総理を“脱税王”と追及できない理由
- China Report 中国は今
- 上海万博で米中蜜月を誇示 中国でエコカー覇権狙うGMの虎視眈々
- 田中秀征 政権ウォッチ
- 小沢・鳩山両氏の信頼関係の揺らぎがもたらす“新たな暗雲”
- 『週刊ダイヤモンド』特別レポート
- 保育園業界のムダと闇――社会福祉法人はすべて善で株式会社はすべて悪なのか
- カツラーは今日も闘っているのだ!
- 恋愛はカツラーの敵(?)である
- 山崎元のマルチスコープ
- キリン、サントリー破談と「対等」の罠
- News&Analysis
- 『エンゼルバンク』“カリスマ転職代理人”が語る「不況下の転職活動で陥りがちな罠」
- ドラッカー塾マネジメント基本コース●限定募集
- ドラッカー・マネジメントを学び生産性を上げ、意思決定のできるナレッジワーカーに
雑誌定期購読のご案内
特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。
1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。
年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。
偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。
お知らせ・ご案内
- 会員専用ページ開始のお知らせ
- 7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。