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歴代首相が鳩山総理を“脱税王”と追及できない理由

 きょう(2月17日)鳩山首相が内閣総理大臣として初の党首討論に臨んだ。

 思えば11年前(1999年11月10日)、日本初の党首討論は、当時、野党・民主党代表の鳩山氏と、小渕恵三首相との間で行われたものだった。

 「小渕総理、総理は今朝何を召し上がってきたのでしょうか。私は熱いピザを食べてきました。こんな質問なら官僚の助けを借りずに答弁できるでしょう」

 当時、筆者も在籍していたニューヨークタイムズ紙では、経済政策等ではっきりと方針を示せない小渕首相を揶揄して、「冷めたピザ」と称した。それを意識したのだろうか、鳩山首相はこう語っていたのだ。

 さらに党首討論で鳩山氏は、自民党内の「政治とカネ」の問題を追及し、政治献金問題を抱えた小渕首相に質問を繰り返した。

 きょうの党首討論を考えれば、なんという皮肉だろう。それだけではない。景気の後退を受け、株価も下落、厳しい財政運営を余儀なくされていた小渕首相の苦悩は、そのまま現在の鳩山政権にも当てはまる。

 予算規模は過去最大の92兆円超にまで膨らみ、44兆円もの国債発行を余儀なくされている鳩山首相は、ようやく小渕首相の苦しみに気づいたことだろう。

税金を払うのが
バカバカしいとの批判

 政権交代がなされてから150日が過ぎようとしている。ハネムーンはとっくに過ぎ去り、記者クラブメディアからも批判の声が聞かれるようになった。とりわけ鳩山首相には政治とカネの問題がずっとついて回っている。

 党首討論の冒頭、谷垣禎一自民党総裁はこう切り出した。

 「新聞にはいろんな方の反応がでております。けさの産経新聞には『納税がバカバカしい』、こういう反応もありました。昨日の読売新聞の夕刊では、『知らなかったで許されるのはおかしい。開き直らないでと怒った』とか、『首相がこれまで払わなかったのだから自分たちもいいのでは』という声が出ております。こういう批判に対して、総理はなんとお答えになりますか」

 世間では確定申告が始まっている。フリーランスの文筆業である筆者にとっても、この時期は実に腹立たしい季節である。政治家の納税ごまかしや官僚たちの無駄使いは取材を通して実感している。そうした公人たちに「給料」を払っているのだと思うと、なおさら納税意欲が失われるのは確かだ。

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著者プロフィール

上杉隆
(ジャーナリスト)

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」「世襲議員のからくり」「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」など著書多数。最新刊は「民主党政権は日本をどう変えるのか」(飛鳥新社)。

この連載について

永田町を震撼させる気鋭の政治ジャーナリスト・上杉隆が政界に鋭く斬りこむ週刊コラム。週刊誌よりもホットで早いスクープ情報は、目が離せない。

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