乗り移り人生相談

2010年2月18日

【38】人間の運の総量は決まっている。無駄遣いすべからず

Q
どうしてもパチンコがやめられません
いつも楽しく読ませていただいています。恥ずかしながら、かれこれ10年ほどギャンブル(パチンコ)から抜け出せない日々が続いています。借金があり、今では法的に整理をして無理なく返済していますが。少しでもお金が入れば、情けない事に自然と足が鉄火場へと向かってしまいます。どうしたらやめる事ができますか?

(28歳・男性)

シマジ  ギャンブルというのは本能だね。女と寝たいというのと同じ本能だ。実は俺もかつてはギャンブルが大好きだった。俺が集英社に入社して「週刊プレイボーイ」の編集部に配属された当時は、編集部内に花札やトランプが飛び交い、将棋と言えば賭け将棋だった。そんな中に入ったから、俺も結構やったもんだよ。毎日、夕方になると、とある専務が編集部に顔を出し、ドボンの大会が始まるんだ。出版社じゃなくて、博徒の一家に入ったのかと思うほどだったよ。

ミツハシ いずこも同じですね。私も入社後、研修期間を終えて配属初日に編集部を訪れたら、まだ誰も出社していなくて、片隅のソファーに40歳くらいの男が2人寝ていたんです。床にはビールの空き缶と花札が散らばっていて、徹夜でコイコイをやっていたことが一目瞭然。今から20年以上前の話ですが、凄いところに入ってしまったと思いましたね。

1 2 3 4 5

著者プロフィール

島地 勝彦(しまじ・かつひこ)
島地 勝彦 1941年生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。「週刊プレイボーイ」の編集長として同誌を100万部雑誌に育て上げる。その後、「PLAYBOY」編集長、「Bart」創刊編集長などを務める。柴田錬三郎、今東光、開高健、瀬戸内寂聴、塩野七生、荒木経惟をはじめとする錚々たる面々と画期的な仕事を重ねてきた伝説の編集者。2008年11月集英社インターナショナル社長を退き現在はコラムニスト。シガーとシングルモルトとゴルフをこよなく愛する。「人生は冥土までの暇つぶし」だと思っている。

このコラムについて

乗り移り人生相談

 これはただの人生相談ではない。何しろ今は亡き昭和の文豪たちが天国から降臨し、ある男に憑依してあなたの悩みに答えるのだから。
 その文豪たちとは次の三人である。眠狂四郎の生みの親、不羈の想像力で時代小説の新地平を拓いた柴田錬三郎氏。天台宗大僧正にして参議院議員そして直木賞作家…天衣無縫の怪物、今東光氏。世界を股にかけ珠玉の文章を残した行動派作家、開高健氏。彼らの言葉を口寄せするのは「週刊プレイボーイ」の編集者時代に、三文豪を回答者に据えて人生相談コーナーを担当した島地勝彦氏だ。柴田錬三郎氏には息子のように、今東光氏には孫のように、そして開高健氏には弟のように可愛がられた島地氏は、人生相談コーナーを通じて門前の小僧よろしく人生の様々な奥義を教えられた。
 島地氏は言う。「従って、シマジの言葉はシマジの言葉にしてシマジの言葉にあらず。剣豪作家シバレンの、今東光大僧正の、開高文豪の言葉なのである。心して聞けい」

アソシエオンラインメール登録(無料)