それいゆさんの日曜日のセミナーレポートです。
当日の講師、ASDと性の研究・教育家として世界でも貴重な存在であるイザベル・イノー博士はフレンチ・カナディアン。
モントリオールからいらした。かの地でクリニックを開いているという。
性教育だけではなく、成人カップルのカウンセリング、それに性犯罪者の更生などにも携わっているそうだ。
そのイノー博士の口から何度も繰り返されたのが「appropriate behavior(適切な行動)」という言葉。
たしかに性行動においては、これって重要だ。
人前で自分の性器に触れることはマナー違反。
人前で他人の性器に触れることは違法行為。
けれどもASDの人は、感覚の偏りや社会的判断力の乏しさから、こういうことをやってしまうリスクを持っている。
それをいかに防ぐか。
まずは原因を探る。たくさんの臨床経験があるイノー博士のもとには、色々な事例があるらしい。だから、原因を探るのにも近道ができるのだろう。こういうセミナーでは、近道も教えてもらうこともできる。
原因がわかればそれを適切な行動で置き換えていく。
What else can you do?
コンスタントにこの問いかけが続く。
日本では犯罪加害者がASDであるという報道への反発も多い。
「障害の特性のゆえ、いじめられてきたからこういうことをするのだ。いじめられなければ本来は天使のような人たちなのだ」と主張する専門家も多い。
一般人から見ると、こういう主張はどう映るか、そこに「想像力の障害」を持つ専門家もうんざりするほどいる。
きれいごとを説けば説くほど、一般人は引いていく。理解はかえって進まない。
私はあえて問いたい。
じゃあ甘やかせばいいのか。ASDの人々を刺激しないよう、一般の人々は大変なコストを払ってASDの人を真綿にくるんでいればいいのか。
その実験をやってみて、十数年後どうなるか。
そのときの責任を「天使説」の専門家たちは取る気があるのだろうか。
理解と甘やかしは別である。とくに性の問題は、他人に大変な傷を残すこともあるのだ。
こういうとすぐに出てくるのが「被害者にだってなる」という大号令。
その通り。でも被害者にもなるからって、加害も帳消しじゃないだろう。クーポン制じゃないんだから。
被害者にも加害者にもならないほうがいいに決まっている。
そしてどちらを防ぐためにも鍵になるのは「教育」なのだ。
少なくとも療育先進国では、「甘やかし」と「理解」ははっきり分けられている。
appropriate behaviorを教えること、すなわち「教育」に重点が置かれている。
「ありのままでいい」なんて甘いことは言われていない。
「教えないとわからない人たちだから、その特性に配慮をして、徹底的に教える」
それが原則だ。
そして、雲の上の有名な研究者たちが天使説を唱えても、現場の人たちは教育の必要性を知っている。
日曜日を一日使って、高いセミナー代金を払って、勉強しようという支援者・保護者が出席していた。そして、積極的に質問を出していた。多くの人が、現場で問題を抱えているのだから。
近親者を性的対象としてしまう当事者の問題が取り上げられていた。
大変に深刻な問題であることに間違いない。
それにどう対処していくか、視覚支援を使いながら、イノー博士は具体的に説明する。
当事者にも性欲があることは、素直に認める。
その発露の必要性も素直に認める。
そしてそれを社会的に許されるパターンに流し込んでいく。
それが現実的な解決方法であるようだ。
私は自分の地元で、画期的な視覚支援材料を見せてもらったことがある。
当事者同士のカップルに、若い支援職の人が視覚支援でラブホの使い方を教えていた。
それまでは作業所のトイレでセックスしていたらしい。だからラブホの存在を教えた。平日作業所でやってはだめだけど、週末ラブホでならやってもいいと教えた。
その視覚支援は、とてもよくできていた。
駅を出てからホテルまでの道も写真で説明。
ホテルに入ったらパネルがあるとか。部屋をどう選ぶとか。何千円以上の部屋はやめようとか(笑)。
お風呂は無料です、とか。まず二人とも身体を洗いましょうとか。
それを教えてあげるまで、お風呂を使うとお金を取られると思って躊躇していたらしい。そういうことをわざわざ教えてあげる必要のある人たちなのだな、と感心した。
コンドームの使い方は、ドンキで買ってきたバイブレーターを使って教えたらしい。
地に足のついた支援だと思った。そして、若くて柔軟な支援者だからできる支援なのかもしれない。
日本にもこういう、カンのいい支援者はいるし、きっと各地にいるのだろう。
そういえばある地方に行ったとき、朝ホテルから電話がかかってきて、当事者カップルを迎えに行くと笑いながら話してくれた支援者もいた。
日本でも心ある支援者が、当事者の健全な性を支えている。
欧米の進んだ療育は、それを体系化してくれる。
そして豊富な事例を学ぶことによって近道をさせてくれる。
性教育はいつから始めるか、の質問があった。
イノー博士は、思春期が始まる前がいい、と答えていた。6,7歳からは始めたほうがいいと。
たしかに予防的に行うことによって、防げることはたくさんあるのだなと思った。
今日のキティちゃんは半蔵門の服部半蔵。
当日の講師、ASDと性の研究・教育家として世界でも貴重な存在であるイザベル・イノー博士はフレンチ・カナディアン。
モントリオールからいらした。かの地でクリニックを開いているという。
性教育だけではなく、成人カップルのカウンセリング、それに性犯罪者の更生などにも携わっているそうだ。
そのイノー博士の口から何度も繰り返されたのが「appropriate behavior(適切な行動)」という言葉。
たしかに性行動においては、これって重要だ。
人前で自分の性器に触れることはマナー違反。
人前で他人の性器に触れることは違法行為。
けれどもASDの人は、感覚の偏りや社会的判断力の乏しさから、こういうことをやってしまうリスクを持っている。
それをいかに防ぐか。
まずは原因を探る。たくさんの臨床経験があるイノー博士のもとには、色々な事例があるらしい。だから、原因を探るのにも近道ができるのだろう。こういうセミナーでは、近道も教えてもらうこともできる。
原因がわかればそれを適切な行動で置き換えていく。
What else can you do?
コンスタントにこの問いかけが続く。
日本では犯罪加害者がASDであるという報道への反発も多い。
「障害の特性のゆえ、いじめられてきたからこういうことをするのだ。いじめられなければ本来は天使のような人たちなのだ」と主張する専門家も多い。
一般人から見ると、こういう主張はどう映るか、そこに「想像力の障害」を持つ専門家もうんざりするほどいる。
きれいごとを説けば説くほど、一般人は引いていく。理解はかえって進まない。
私はあえて問いたい。
じゃあ甘やかせばいいのか。ASDの人々を刺激しないよう、一般の人々は大変なコストを払ってASDの人を真綿にくるんでいればいいのか。
その実験をやってみて、十数年後どうなるか。
そのときの責任を「天使説」の専門家たちは取る気があるのだろうか。
理解と甘やかしは別である。とくに性の問題は、他人に大変な傷を残すこともあるのだ。
こういうとすぐに出てくるのが「被害者にだってなる」という大号令。
その通り。でも被害者にもなるからって、加害も帳消しじゃないだろう。クーポン制じゃないんだから。
被害者にも加害者にもならないほうがいいに決まっている。
そしてどちらを防ぐためにも鍵になるのは「教育」なのだ。
少なくとも療育先進国では、「甘やかし」と「理解」ははっきり分けられている。
appropriate behaviorを教えること、すなわち「教育」に重点が置かれている。
「ありのままでいい」なんて甘いことは言われていない。
「教えないとわからない人たちだから、その特性に配慮をして、徹底的に教える」
それが原則だ。
そして、雲の上の有名な研究者たちが天使説を唱えても、現場の人たちは教育の必要性を知っている。
日曜日を一日使って、高いセミナー代金を払って、勉強しようという支援者・保護者が出席していた。そして、積極的に質問を出していた。多くの人が、現場で問題を抱えているのだから。
近親者を性的対象としてしまう当事者の問題が取り上げられていた。
大変に深刻な問題であることに間違いない。
それにどう対処していくか、視覚支援を使いながら、イノー博士は具体的に説明する。
当事者にも性欲があることは、素直に認める。
その発露の必要性も素直に認める。
そしてそれを社会的に許されるパターンに流し込んでいく。
それが現実的な解決方法であるようだ。
私は自分の地元で、画期的な視覚支援材料を見せてもらったことがある。
当事者同士のカップルに、若い支援職の人が視覚支援でラブホの使い方を教えていた。
それまでは作業所のトイレでセックスしていたらしい。だからラブホの存在を教えた。平日作業所でやってはだめだけど、週末ラブホでならやってもいいと教えた。
その視覚支援は、とてもよくできていた。
駅を出てからホテルまでの道も写真で説明。
ホテルに入ったらパネルがあるとか。部屋をどう選ぶとか。何千円以上の部屋はやめようとか(笑)。
お風呂は無料です、とか。まず二人とも身体を洗いましょうとか。
それを教えてあげるまで、お風呂を使うとお金を取られると思って躊躇していたらしい。そういうことをわざわざ教えてあげる必要のある人たちなのだな、と感心した。
コンドームの使い方は、ドンキで買ってきたバイブレーターを使って教えたらしい。
地に足のついた支援だと思った。そして、若くて柔軟な支援者だからできる支援なのかもしれない。
日本にもこういう、カンのいい支援者はいるし、きっと各地にいるのだろう。
そういえばある地方に行ったとき、朝ホテルから電話がかかってきて、当事者カップルを迎えに行くと笑いながら話してくれた支援者もいた。
日本でも心ある支援者が、当事者の健全な性を支えている。
欧米の進んだ療育は、それを体系化してくれる。
そして豊富な事例を学ぶことによって近道をさせてくれる。
性教育はいつから始めるか、の質問があった。
イノー博士は、思春期が始まる前がいい、と答えていた。6,7歳からは始めたほうがいいと。
たしかに予防的に行うことによって、防げることはたくさんあるのだなと思った。
今日のキティちゃんは半蔵門の服部半蔵。