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類似ラブホテル 愛知県内160店

風営法見直し検討 行政と警察の連携不可欠


先月摘発されたホテル(名古屋市中村区で)

 一般ホテルとして営業許可を受けながら、実態はラブホテルとして営業する「類似ラブホテル」が、愛知県内に約160店あることがわかった。中には風営法で規定されるラブホテルと疑われるものもあるが、警察に立ち入り権がないため実態把握が困難で、摘発に至らないケースがほとんど。性犯罪も相次いでおり、警察庁は風営法の見直しを検討している。

(大沢奈穂)

 愛知県警は先月、名古屋市中村区でビジネスホテルを名乗り、無届けでラブホテルを営業していた経営者を、風営法違反(無届、禁止地域営業)の疑いで初めて摘発した。それを可能にしたのは、中村署が同ホテルを利用した売春グループを逮捕、関係先として同ホテルを捜索し、風営法上のラブホテルに該当することが確認できたためだ。捜査関係者は「ラブホテルの要件を満たさないと警察が立ち入りできず、内部の実態把握は難しい」と説明した。

 警察庁によると「ラブホテル」は、〈1〉専ら異性を同伴〈2〉一定面積以上の食堂かロビーがない〈3〉回転ベッドやアダルトグッズ販売機などがある――の3要件を満たす施設。風営法などで営業区域などを規制される。

 しかし、この3要件にあてはまらない「類似」が全国的に乱立。県内では今年8月末で163店にのぼり、届け出ラブホテルの124店(10月末現在)を上回る。

 増加の背景には、厳しい地域規制がある。学校などの施設から200メートル以内では営業禁止のため、営業可能な地域が限られる。また、一般ホテルの競争激化で、経営状況の苦しいホテルが「類似」に活路を見いだしているとの見方もある。「類似」は、一般ホテルなどとして自治体から旅館業法上の営業許可を受けて開業。その後、タッチパネル形式の受付を設置するなどして「ラブホテル化」させるケースが多い。宿泊者名簿を置かないホテルも目立つ。

 こうした行為は同法違反にあたる。保健所が立ち入り検査で改善を指導しているが、保健所の担当者がラブホテルの3要件にあてはまると考えても警察に通報することはほとんどないのが現状で、警察との連携が課題となっている。

 「類似」は風営法の規制を受けないため、18歳未満でも利用でき、児童買春など性犯罪の温床になりがちだ。県警によると、昨年7〜12月に「類似」で摘発された児童買春事件などは13件で、届け出ラブホテルの6件を上回った。

 警察庁ではこうした現状を踏まえ、風営法上のラブホテルの要件の見直しを検討している。「全国偽装ラブホテルをなくす会」(神戸市)の馬場敦子代表(32)は「風営法上のラブホテルの定義を現状にあったものに改定するのが早急な課題。同時に、行政の監視、警察との連携強化も不可欠だ」と指摘している。


 類似ラブホテル
 外観が著しく派手で玄関付近に遮蔽物や空室表示があるなど実態はラブホテルなのに、公安委員会へ風営法の届け出をしていないホテル。同法が禁じる▽18歳未満の利用▽敷地外への広告看板設置▽学校や児童福祉施設などの周囲200メートル以内の営業――などの規制を受けない。


2009年12月10日  読売新聞)
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