これが私の基本方針です。
「本を出してもえらくない」って。
本は出す人より買う人がえらい。出版が実業である以上、これが当たり前。
本を出したくらいで、えらくなったと思うのは大いなるカンチガイ。
本は毎日200点も出る。珍しいことじゃない。
本を出すことは
やきとりやさんがやきとりを焼くのと同じ。
お団子やさんがお団子を作るのと同じ。
要するに日常の一こま。
でも中にはいい大人でも、ここをカンチガイする人がいる。本を出したらえらくなった気になってしまう人がいる。
だから
8歳の子どもの本を出すときには
これがとても気になりました。8歳でカンチガイされると人生狂う。
大地君は、日によって体調がとても違うタイプ。
朝は「特製スリスリマッサージ」をしないと動けないこともあるみたい。
藤家さんと同じように、手足に
「お願いしますよ〜動いてくださ〜い」って呼びかけて通学するみたい。
どさんこだから、雪の中の通学も日常。
近所の人に見守られ
吹雪の中でフリーズして、掘り起こされることもあるみたい。
それでも「学校に行く。なるべく自力で行く」と先生とパパとママと約束したから
なるべく自力で登校する。どうしてもだめなときはママの車で行く。
身体感覚が定型の人たちとちょっとずれているから、無理しすぎると倒れてしまう。
そのことをよく自覚して
どれくらいのがんばりがちょうどいいのか、一生懸命自分で探っている小学校二年生。
日々のそういう努力のほうがえらいんであって、本を出すのはえらくない。
将来役立つのは日々の努力であって、本を出したことなんてただのエピソードで終わる。
ってちゃんと言って聞かせてくださいねって周囲の方にお願いしました。
そして、周囲の大人が、ちゃんと私の考えを受け止めてくださる方々だったから安心しました。
大地君の思い出づくりのために本を出すんじゃない、って最初から言いました。
「自分はふつうの子と必要なトレーニングが違うんだ」って自覚して、
支援級でがんばっている子が自分の内面を豊かに語ってくれたから出すんだって。
自分に弱いところがあるって小さいうちから自覚するってどういうことか
それを伝えてくれるから出すんだって。
有頂天になってすごいこと成し遂げたかのようにカンチガイしてしまう親御さんだったら、
周囲に自慢しちゃうような軽薄な親御さんだったら
私はこの本出さなかったと思います。子どもの人生狂わせちゃうからね。