定型発達者もつらい…かな?

花風社・浅見淳子のブログ

「なぜ特別支援教育か」読了

2009-12-23 07:26:05 | 日記
「なぜ特別支援教育か 非行を通して見えるもの」藤川洋子著 日本評論

読みました。
藤川洋子氏の著作を読むと、「フェア」という形容詞が必ず頭に浮かびます。
元家裁調査官として、障害のある少年が起こした事件についてきちんと伝える。これが、社会に対してフェア。
そして少年に非行の事実をきちんと直視させつつ、特性を踏まえてのその後の成長を信じている。それが、非行少年に対してフェア。
そして、育てにくい子を育てる途中で傷ついている非行少年の親に対してもフェア。

藤川氏はこの本の中で、遵法教育の大切さについても触れています。
刑法の責任が生じる十四歳までに遵法教育が必要だと。
私も現状では、遵法教育が決定的に足りないと感じています。
それは、私たち定型発達者にもいえるのではないでしょうか。
自分自身も法律を知らなかったから、著者のプライバシーなどを考えすぎるあまり、早めに手を打てませんでした。
被告の行為を不法行為と裁判所に納得してもらうには、著者の身元等を開示しなければいけないのだと思っていました。
けれども、弁護士さんに司法の論理を教わって、肩の荷が下りました。
「被告が納得する必要はない。裁判所や警察が納得すればいいのだ」
「著者に関しても浅見さん自身に関しても、機密書類を見せる必要はないし、法廷が二次的被害の場になってはいけないので、裁判所もそれを要求することはないだろう。裁判所が要求しないものは開示しないほうがいい」
実際にこのとおりでした。司法の論理はわりとうまくできています。
身を守るためにも、加害行為を起こさないためにも
早くからの遵法教育は大事ではないでしょうか。

何よりも心を打たれるのは、非行少年の成長を信じる著者の誠実さです。
事件が起きると鑑定報道に目くじらを立て、なんとか発達障害の外に追いやろうとする専門家や
問題行動を二次障害のせいにして放置する専門家も多いです。
そういう人々は結局、発達障害者の成長を信じていないんじゃないかと感じることがあります。
発達障害の世界の外の社会に対する責任を自覚していないんじゃないかと感じることがあります。
少なくともそう見えてしまいます。

でも親御さんの中には
そういう専門家に疑義を投げかける動きだって出てきています。
親御さんのほうが
子どもが成長していく姿を日々見ているから。

「専門家はあれもできないこれもできないと決め付けます。
一度うちの子を見せてみたいと思うことがあります。
現在には限界はあるけど、未来は違うと思って育ててきました。
驚くほど成長しました」

これはつい最近、ある親御さんからいただいたメールです。
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