2010年2月21日
バロックからテクノまで音楽の世界を自在に渡り、作曲家や指揮者としても活動するピアニスト、フランチェスコ・トリスターノ・シュリメが各地でリサイタルを開く。
19歳で米国デビュー。プレトニョフに才能を見いだされ、ラ・ロック・ダンテロンなどの音楽祭で名をあげた。2001年には室内合奏団「ニュー・バッハ・プレイヤーズ」を設立。ビバルディ「四季」で弾き振りにも挑戦、話題を集めた。
特定のレパートリーにこだわる気配はないが、「ジャンルの壁を超える」との言い回しをされることに違和感を感じるという。「ひたすら音楽に潜っていくと、時代も国境の縛りも消え、音楽はただの音楽になる」
そんな境地にいざなう最大の作曲家がクリスチャン・バッハだという。「父の大バッハの陰になりがちだが、彼ほど後世の音楽家に影響を与えた作曲家はいない。時空を超えて空間を広げるイメージが、僕にはテクノ音楽に重なる」
この感性はルクセンブルクに生まれ育ったことと無縁ではない。「ドイツ、フランス、ベルギーなどの文化に接しつつ、どの伝統にも属していない。根がないということは束縛がないということ。音楽家として、この自由は恵まれていると思う」
公演は、20日、彩の国さいたま芸術劇場▽21日、東京・白寿ホール▽23日、東京文化会館▽25日、山口・サンビームやない▽27日、大阪倶楽部▽28日、神奈川・藤沢リラホール。電話03・3481・8636(ユーラシック)。(吉田純子)