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【国際】

司法省元高官の懲戒処分求めず 米の容疑者水責め容認

2010年2月21日 朝刊

 【ワシントン=嶋田昭浩】米国のブッシュ前政権が、テロ容疑者として拘束した外国人らに水責めなどの拷問を行った問題で、米司法省が、取調官に拷問を認める法律判断を下した当時の同省高官二人について、懲戒処分を求めない決定を下していたことが十九日、明らかになった。オバマ大統領は拷問を批判してきただけに、具体的な責任追及があいまいにされる恐れがある決定に、人権団体などが反発している。

 同日公表された司法省の文書によると、拷問を容認した当時の同省高官二人について、調査を担当した省内の部局は「職権乱用があった」として、弁護士資格を持つ二人の所属弁護士会に懲戒を求めるべきだとする報告を作成。だが、報告を受けた同省の現職幹部が先月、「職権乱用とは認められず、懲戒を求めるべきでない」と判断を下していた。

 問題の元高官のうち一人は現在、連邦高等裁判所の判事。もう一人は、有名大学の法学教授を務めている。

 米議会上下両院の司法委員会は週明けにも公聴会を開き、二人から証言を求める方針。

 ニューヨークを拠点とする人権団体「憲法権利センター」は同日、「二人は、ねじ曲がった法律判断を下した結果、(国際社会などから批判を浴びた)米国や数千人もの(拷問)被害者に計り知れない損失を与えた」とし、刑事訴追と辞職を求める声明を出した。

 

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