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社会

加古川を安全な街に 元暴走族の男性ら「自警団」 

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夜の町で目を光らせる昌道会のメンバー=いずれも加古川市内(撮影・三浦拓也)

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巡回ルートを相談。父親と一緒に回る少年の姿も=いずれも加古川市内(撮影・三浦拓也)

 元暴走族の加古川市の男性らが、防犯活動などに取り組むNPO法人を設立し、地域の安全確保に一役買っている。かつては暴走やけんかに明け暮れたが、結束の固さを武器に「地域のために」と奮起。ひったくりなどの犯罪を警戒したり、遅くまで遊ぶ若者に帰宅を促したりしながら、夜の町で目を光らせる。

 「何しとんや」。真冬の夜、そろいの黒いジャンパー姿の男性らが、コンビニエンスストアの前でたむろする数人の若者に声を掛けた。

 けげんそうな表情で見返す若者に、男性らはきっぱりと一言。「もう帰らなあかん時間やろ」。若者は素直に従い、静かに店の前を離れた。

 昨年12月、兵庫県からNPO法人の認証を受けた「自警団昌道(しょうどう)会」。2007年9月にボランティア団体として発足、現在は加古川や高砂、姫路市などの10〜40代の男性約120人が所属する。

 各地で週1回、パトロールを続けるほか、JR加古川駅前などで毎月1回、清掃活動にも励む。

 代表の石井昌彦さん(35)は中学卒業後の15歳の時、仲間と暴走族「十夢走夜(トムソーヤ )」を結成。派手な刺しゅう入りの服を身にまとい、国道250号などを毎夜、改造した単車で暴走した。けんかも繰り返し、数え切れないほど警察に補導された。

 「1番になりたい」「仲間と一緒にいたい」。そんな思いから、暴走行為などに没頭したという石井さん。「もうそんな年齢じゃない」と18歳で暴走族をやめ、建設業などでまじめに働くようになった。

 活動のきっかけは約4年前。子どもが殺害されるなどの事件が相次ぎ、児童虐待のニュースもよく聞くようになった。

 少年時代、自分のことを親身になって心配してくれた祖母、友人のように付き合ってくれた中学時代の先生…。支えてくれた大人たちの顔が浮かんだ。

 「子どもや若者のために、できることはないか」。石井さんは暴走族時代の仲間らに呼び掛け、昌道会を立ち上げた。

 パトロールには必ず何人かが自発的に参加する。30回近くを数える清掃活動も、日時と場所を知らせるだけで毎回20〜30人が自然に集まる。

 「自分たちの町から少しでも犯罪を減らしたい」とメンバーの内装業見習い、芝田直樹さん(30)=加古川市東神吉町。石井さんは「結束力が何より強み」と胸を張った。

 NPO法人化を機に、不登校やいじめに悩む少年の相談に乗ったり、スーパーと連携して万引防止の見回りをしたりする活動も計画する。石井さんは「『あの人たちがいてくれて良かった』と言われる存在になりたい」と意気込んでいる。

(宮本万里子)

(2010/02/20 16:23)


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