説明する黒沢理事長(右)ら
佐賀県伊万里市に「黒澤明記念館」を建設するため設立された「黒澤明文化振興財団」が集めた寄付金約3億8800万円が所在不明になっている問題で、黒澤明監督の長男で財団理事長の黒澤久雄氏らが19日、伊万里市議会の全員協議会で、「寄付金は使った」と明らかにした。財団側はこれまで寄付金は「保管している」と虚偽の説明をしていた。
財団は1999年から記念館設立のための寄付金を集めていたが、県に提出した2007年度の決算報告書で、4億近い寄付を集めていたはずの財団には、預金などの流動資産が約143万円しかなかったことが判明していた。田畑稔常務理事は「虚偽を報告した。申し訳なかった」と陳謝した。黒澤理事長はこれまでの虚偽説明を認めた上で「寄付金のうち(仮施設の)サテライトスタジオを造るのに2億円ちょっとかかった」と釈明。記者会見で「悪いことはしていない」と語った。
記念館は当初、01年にオープン予定だったが、資金集めが難航し、サテライトスタジオだけ開設。市は財団支援のため、これまで約3億5千万円を支出している。