貨幣改革失敗、北朝鮮は今(1/4)
中朝国境地帯を行く
北朝鮮を脱出する人が増える中、脱北者に対する見方が大きく変わっている、と対北関係者が伝えた。また、昨年の貨幣改革以降、食糧難と物価急騰が重なり、今春から脱北者が大幅に増えるという見方も出ている。
■脱北者の家族を見て「わたしたちもあのように」
昨年初めに豆満江を渡って脱北した咸鏡北道出身のイ某さん(48)=女性=は、「わたしが暮らしていた地域は、2軒に1軒が脱北者の家庭だった。中国や韓国に渡った脱北者が北に残した家族に金を送って食べさせているため、今では脱北者の家庭をののしるどころか、むしろうらやましがっている」と語った。イさんは「わたしの息子は結婚する年齢になったのだが、周りから“あなたの家は家族が外国に行って経済的に余裕があるから、娘を嫁にやりたい”という人が大勢いると聞いて驚いた」と語った。
イさんは、北朝鮮に残した家族に中国の携帯電話を送って時折連絡を取っており、今年の旧正月(旧暦1月1日、今年は2月14日)にも電話で話した。イさんは、「中国や韓国では、男性より女性の方が簡単に仕事が見つかる、という事実が知れ渡り、北朝鮮では娘を生むと“ドルを生んだ”“人民幣を生んだ”という冗談話が流行っている。以前は、脱北者を“裏切り者”とののしっていたが、今では、チャンスさえあれば外国に行って金を稼ぎたい、というのが社会の風潮になっている」と語った。
北朝鮮はこうした風潮を抑制するため、国境警備を強化する一方、中国から強制送還された脱北者らを講演会に送り込み、「中国で人身売買組織に引っかかったら、奴隷よりひどい生活を送ることになる」と宣伝している。しかし、対北事業家らによると、北朝鮮の住民はもはやこれを信じていないという。北朝鮮の茂山、恵山、会寧などを訪れたある事業家は、「北朝鮮の宣伝に対し、住民らは“奴隷として売られたとしても、食事はできるのではないか”“中国がそんなに悪い場所なら、脱北した大勢の人々はなぜ帰って来ないのか”と問い返している」と語った。また住民らは、「中国では子犬でも白米を食べているそうだ」として、「(人民に)白米と牛肉のスープを食べさせよ、という金日成(キム・イルソン)首領の遺訓を守れなかった」という金正日(キム・ジョンイル)総書記の言葉に対し皮肉や非難を口にしているという。北朝鮮当局は、1990年代には脱北者の家庭を処罰していたが、脱北者があまりにも増えたため、現在は残存家族に対する処罰を放棄している。
- 旧正月を数日後に控えた今月8日、中国・丹東の中朝友誼橋を渡り、北朝鮮からトラックやバスが戻って来た。民族の名節と金正日総書記の誕生日に合わせ、中国産の果物や生活必需品が大量に北朝鮮へ持ち込まれる様子が目撃された。/写真=特別取材班
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