貨幣改革失敗、北朝鮮は今(3/4)

中朝国境地帯を行く

「中国の携帯電話流入を防げ」

 北朝鮮当局は最近、脱北者らが手に入れた中国の携帯電話を通じ、北朝鮮内部の話が外部に知れ渡ることに反発、強力な取り締まりに乗り出したという。

 この携帯電話は中国の通信網を利用するため、韓国はもちろん、米国・日本・ヨーロッパなど全世界と通話可能だ。

 そこで北朝鮮当局は、3-4年前からドイツ製や中国製の無線電話探知機を導入し、車に積んで走らせ、携帯電話の信号を追跡、場合によっては通話の内容まで録音し、通話している人物を取り締まっている。このため脱北者の家族は、携帯電話の信号が十分に捕捉できる野山に行き、こっそりと通話した後、電話機のスイッチを切って素早くその場所を離れる-という方法で取り締まりを逃れている。中国の携帯電話で通話し摘発されれば、150万ウォン(旧貨幣基準)の罰金が科せられ、特に韓国や米国にいる人との通話が発覚した場合、「敵線」に分類され、政治犯として処罰される。

「テレビ放送、笑わせるな」

 「2003年、テレビで順川ビナロン(北朝鮮が命名した合成繊維)工場を紹介し、“この工場さえ稼働すれば、中国よりいい暮らしができる”と持ち上げて宣伝したが、工場の技術陣は成功できず、すぐに工場を閉鎖した」

 「ある漁場に金総書記が視察に来ることになったため、漁場の幹部らがよそから何台ものトラックに魚を積んで来て放した。だが金総書記が帰るや、魚を捕まえて再び運んでいった」

 中国にいる脱北者や対北事業家らは、北朝鮮当局がテレビを通じて宣伝する国営企業の生産現場は、ほとんどが「ショー」に過ぎないと語る。多くの国営企業がうまく回っていないため、逆に稼働しているように見せ掛け、ほかの地域の生産を督励しているというわけだ。ある事業家は、「会寧の製紙工場も、資財やエネルギーがなく、稼働できない状態だ」と語った。

 このため、政府機関や国営企業の幹部らが会社の名義を利用して貿易を行ったり、商売をしながら個別に生計を立てており、この過程で脱税や腐敗がはびこっている、と対北関係者らは口をそろえた。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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