貨幣改革失敗、北朝鮮は今(4/4)

中朝国境地帯を行く

 ある事業家は、「最も大きな事業体が北朝鮮人民軍だが、彼らは農産物・工業製品だけでなく、ひどいときには麻薬すら取引している。韓国から食糧支援を受けると一番最初に軍隊に支給されるが、配給量が余りに不足しているため、各部隊が自ら金を稼いで解決するしかない」と語った。

 ある脱北者は、「テレビでは“民間人のものならば、コメ一粒も手に取らない主体軍隊”の清廉さを強調しているが、実際には軍人が民間人の食料や物品を盗み、軍隊を“強盗”あるいは“トップ”と呼んでいる。住民の間では、軍隊に対する恨みの声が極めて高い」と話した。

 無料教育を誇る北朝鮮の学校に学費はないが、「経済資金」「ちびっ子資金」などの名目で生徒から雑費を徴収し、一部を教師が着服しているという。「経済資金」とは、国家の大型工事に必要な装備購入費などを指し、「ちびっ子資金」とは、冬に軍人に送るウサギの毛などを子供たちが買って送ることを指す。学用品も、生徒たちが市場で高い中国産を買って使わなければならない。その上、農村や地方都市の学校では給食がなく、授業もきちんと行われないという。ある脱北者は、「学校は、形式的には開校されるが、教師らは“食べるものがないから家に帰り、卒業のときにまた来なさい”と言っていた」と語った。

人糞まで盗む住民たち

 南北関係の悪化で韓国の肥料支援が途絶えると、北朝鮮政府は人糞を肥料として使用するため、職場ごとに「人糞回収運動」を展開している。しかし、12月に北朝鮮を訪問したある対北事業家は、「人糞不足が住民らのネックになっている」と語った。

 咸鏡北道の国境都市に親類が住んでいるこの事業家によると、当局が無条件に断行する人糞回収に対し、北朝鮮の住民は「食べられなければ出るものも出ない」と反発しており、ひどいときには「人糞泥棒」まで出るという。この事業家の親類のめいは、家のトイレの人糞が足りず、公共トイレから人糞を盗んだという。両親が人民班長を呼び、食事(めん類)をもてなしている間に、公共トイレの人糞をこっそりと桶にくんで盗んだのだ。

 北朝鮮の住民は、「集合住宅の公共トイレを見れば、中国人が来たかどうかすぐに分かる。中国人の大便は黄色く、つやがあるが、北朝鮮の住民のものは青黒く、死人の色をしている」と話している、とこの事業家は伝えた。

丹東・延吉=特別取材班

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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