【東京】米軍普天間飛行場移設問題の解決策として首相周辺で、普天間飛行場を存続させた上で海上自衛隊管理とし、緊急時のみに自衛隊と米軍が使用、すべての訓練を九州の複数の自衛隊基地に分散する「首相案」を検討していることが19日までに分かった。既に首相側近が米政府幹部にも打診。だが訓練環境が不十分などとして難色を示しているという。
政府内では、同案とは別に名護市のキャンプ・シュワブ内にヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)か、滑走路を造る「シュワブ陸上案」も検討されており、政府・与党3党でつくる基地問題検討委員会以外に政府内で複数の案が検討されている模様だ。
いずれの政府検討案も県内移設によるもので、昨年の衆院選中に「最低でも県外」とした首相発言との整合性が問われそうだ。
「首相案」は、普天間飛行場存続は暫定的とし、返還時期は周辺の安全保障状況を踏まえ検討していく。常駐機は置かず、訓練は航空自衛隊の新田原(にゅうたばる)基地(宮崎)や築城(ついき)基地(福岡)、陸上自衛隊日出生台演習場(大分)、海上自衛隊大村航空基地(長崎)などに分散移転することを柱にしている。
政府関係者は「首相は訓練を県外の自衛隊基地へ分散することで普天間を閉鎖状態とし、事実上『県外移転』を実現した形にしたい考えだ」と述べた。
シュワブ陸上案は、キャンプ・シュワブ陸上に約500メートルのヘリパッドか、1500メートル程度の滑走路を建設し、訓練を鹿児島の徳之島や馬毛島に移転する計画。しかし米側は、代替施設に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを配備する予定で、同機の運用には1600~1800メートルの滑走路が必要。陸上案が実現しても、滑走路機能が不十分のため普天間の継続使用が予想される。(仲井間郁江)
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