K子は機会をうかがっていた。
次に誰を陥れるか。
そして、いかに自分が上に行くかを。そして愛する社長に近づくための方法を。
K子の所属する部署は、前述したとおり虫の息だった。
売り上げは全く上がらず、後進のオンラインゲーム事業にとって変わられていた。
ほとんど会社に貢献はなく、子供のお遊びのレベルだ。
そこで目をつけたのは、自分が売り上げの上がっている部署そして、よしだに刺客を差し向ける事だ。
オンラインゲーム事業を行っている部署は、毎日のように来る警察への対応とクレーム処理で
いっぱいいっぱいだった。
そして、当然それは会社全体の売り上げの減少を引き起こした。
社員が食えなくなるほどの損害までは至っていなかったが、確実に売り上げは減少していた。
そこに目をつけたのだ。
彼女は声高らかに言った。
「
この責任の所在はどこにあるのか」と。
誰もが顔を見合わせた。
誰の責任か。
よしだの目には明確だった。最初の兆候があった時点で我、関せずを決め込んだ谷部長だ。
部長というポジションであるし、当然だろう。
それに社長自身の責任もある。会社の責任を明示せず、先延ばしにしていた。
しかし、そんな事を言ってる場合だろうか。
ユーザの不満を取り除くために、現場は「
アイテムの保障」をする事にしていた。
それを提言したのは、I子先生だ。
もちろんこれを少しずつでも実施しなければ、ユーザ離れは必至だったし、何よりユーザ側がなんらかの訴えをブラック会社に対して行ってくる事も予想される。
会社は正式に、会社のWebサイトで情報漏えいの件を発表することになった。
自分たちは被害者であると。
そして、ご迷惑をおかけしたユーザの皆様には、アイテム保障を行うと。
谷部長は必死に自分の立場を守るために社長室に入り浸る事になった。
そしてK子にそそのかされたK子の上司である営業部長が動き出した。
営業部長は責任の所在を調査し始めた。というよりも調整し始めた。
自分に最も都合がよく、成り上がるための方法だ。
営業部長自身も、もうK子のいる部署には先は無いと感じていたと思われるし、何より感は良かった。
自分が成り上がるチャンスであると。
責任の所在。ここまで全部読んでくれた読者にも明確だろう。
しかし、驚くべき結論が導き出される事になる。