社内だけでも問題山盛りなのに、外部鯖を担当するもう一人のよしだ(男)がいない。
事態は深刻だ。
ぜひとも、夢であってほしい。
ファイルサーバの一件から今まで、外部担当の部長である谷さんは、よしだに一向に良い顔をしなかった。
社内SEとは、同じIT分野の人から嫌われやすい。
なぜなら、ソフトを担当する人達にとって、自分の環境をどんどん変えられるのは迷惑な話でもあるからだ。
転ばぬ先の杖。
それが、社内SEの責務である。つまり、コストを排出する割に売り上げという形で反映されることは少ない。
よ「谷さん、ちょっと不信なログがあるのでUTMのログを調査をしたいんですが、ログイン先を教えてもらえませんか?」
谷「部外の人には教えられない」
よ「そんな事言ってる場合ではないかもしれないんです。お願いします。設定などは変えませんし、見るだけですからお願いします。」
谷「部内で調査するから良いよ。」
何度言っても面倒くさそうに断り文句が返ってくるだけだった。
既に小川さんは、知らぬ顔をし始めたし、もう何度いっても無理だろう。
仕方がないので、担当のよしだ(男)さんの携帯を鳴らす。
何度も何度も。
よしだ(男)さんは出ない。
小川「本当もう、よしだ(男)さんは頼りが無さ過ぎるよ。勘弁してくれよ。」
愚痴をこぼす小川。
しかし、よしだはよしだ(男)さんを責める気にはならなかった。
なぜなら彼は、つい先日、会社にフラフラしながらやってきてMTGの最中。
よしだ(男)「なんか片方の耳が聞こえないんですよ。。。」
なぜ、会社に来たし。
すぐさま、病院にいくよう言われ、彼は病院で「自律神経失調症」の診断を受けた。
毎日毎日、データセンターへ足を運び、PHS片手に無防備な状態で三半規管をさらし、長い時では凍える
ような寒さのサーバルームで10時間12時間と働いていたのだから当然だ。
腰の低い彼は、よく社内で罵倒されていたし、勤務時間の事については全く触れない社風だった。
明らかに過労でストレスでやられてしまっていた。
UTMの情報を得られないまま、その日は終わりよしだ(男)さんは出勤しないまま日が流れることになってしまった。
当然、経理部長には事情を説明したし、社長にもこのことを伝えて欲しいと訴えた。
しかし、k子の身も蓋もないチクリのお陰で、経理部長もすっかり事なかれ主義になっていた。
当然、ITの分野には疎いし簡単に説明しても現実味がわかなかったようだ。
それを裏付ける証拠は手元にもない。
治外法権は未だ健在であり、他部署にはあまり口を出したくない風でもあった。
「よしださんは、とりあえず社内のセキュリティを強化してくれるかな。」
既に社内にはUTMを設置し、ファイヤーウォールの設定、外部からの接続は禁止してある。
だが、外部からのアタックは非常に多い。
侵入の形跡はないものの、明らかにこの会社のグローバルIPアドレスであるとバレている。
プログラミングができないプログラマの小川さんがアクセスできるログの解析も禁止され、よしだはただ時がたつのを待つだけ。
日々、社内のセキュリティには目を配り、ナイーブになっていった。
度々、情報漏えいの可能性があると啓蒙もし続けた。
社内からの本番サーバへのアクセスを暗号化通信へ切り替えることも薦めた。
そんな矢先、事件が発覚する。
1 ■無題
ふむ…。