日本人が外国で暮らすときに日本に誇りをもつのと同じく、外国人は外国人としての誇りをもって日本に住んでいる。思考実験としてあえていうならば、たとえば日本とある国が戦争状態になったとき、その国にアイデンティティをもつ外国人は、日本ではなく相手国に忠誠を誓い、その国に与して戦おうと考えるかもしれない。だが、彼が外国人である以上、そう考えるのも自然なのである。お互いの誇りを尊重するためにも、政治的に「他者」であることは確保されるべきであり、だからこそ参政権は外国人に安易に付与されてはいけないのである。
特別永住者も付与の妥当性なし
外国人参政権問題が議論されるときには、特別永住者の問題が大きくクローズアップされることが多い。たとえば小沢一郎氏は自身のホームページで次のように記している。
「主として永住外国人の大半を占める在日韓国・北朝鮮の人々は、明治43年の日韓併合によって、その意に反して強制的に日本国民にされました。すなわち、日本が戦争によって敗れるまでは、大日本帝国の同じ臣民でありました。日本人としてオリンピックに参加し、日の丸を背負い金メダルを取っています。また、日本のために多くの朝鮮の方々が日本人として、兵役につき、戦い、死んでいきました。このような意味においては、英連邦における本国と植民地の関係よりもずっと強く深い関係だったと言えます。私達はこのような歴史的な経過の中で今日の問題があることを忘れてはなりません」
たしかに、このような意見もあるだろう。しかし、終戦後、在日韓国・朝鮮人は「強制的」に日本に留められたのではない。日本政府は引き揚げ船を準備し、在日韓国・朝鮮人で帰国を希望する人は朝鮮半島へ送り届け、終戦時に200万人いた在日韓国・朝鮮人のうち、昭和21年末までに約140万人が朝鮮半島に帰っている。
また、いまだ一部に「在日韓国・朝鮮人は戦前の強制連行によって連れてこられたのだから」という話を前提にする人もいるが、これはいうまでもなく問題を履き違えている。そもそも厳密にいえば、朝鮮人の強制連行など存在しなかった。戦時中、日本では昭和14年に制定された国民徴用令に基づいて、軍需産業を中心に労働力確保のために徴用が行なわれた。当初は朝鮮人への徴用令の適用は免除されていたが、戦局の悪化にともない昭和19年9月より徴用されるようになった。
当時は朝鮮半島も日本国の一部であり、小沢氏が文章に書いているとおり、同じ国民として戦ったのである。なにも朝鮮の方々だけを強制的に働かせたのではない。しかも、先ほど述べたように、いま日本に住む特別永住者は、朝鮮半島に帰国できたにもかかわらず、自分の意思に基づいて残った人々だ。ある種の感情的な動機から、そのような特別永住者への参政権付与を進めようというのは、妥当性を欠く。
参政権を与える外国人として、在日韓国人・朝鮮人を中心とする特別永住者だけでなく、国が永住許可を認めた一般外国人も含めるという議論もあるが、これに至っては論外で、特別永住者どころではない問題をはらんでいる。
とくに問題となるのが中国人で、一般永住者のなかに占める比率も中国人がもっとも高い。中国は、韓国と並んで日本と特別な歴史的関係をもち、国内で反日的な教育をしている国でもある。今後、中国国籍の一般永住者がますます増大し、その一般永住者に対する参政権が認められるようなことになれば、明らかにわが国の政治への影響力は絶大なものとなろう。
しかも一般永住者になるのは簡単である。法律上の要件として、素行が善良であること、独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(原則として引き続き10年以上本邦に在留していること、罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること、公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと等)などが挙げられるのみだ。
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