北海道教職員組合(北教組)から、民主党の小林千代美衆院議員=北海道5区=側に違法提供されたとされる総額1600万円の選挙費用の一部に、公立学校の教員にいったんは支給された後、組合の運動方針の結果、北教組内部にプールされた巨額の「主任手当」の利息が充てられていた可能性があることが、捜査関係者などへの取材で分かった。札幌地検は、北教組本部の家宅捜索で押収した資料などから裏付けを進めている模様だ。
主任手当は、学校長が任命した「教務主任」や「学年主任」などの教員に対する手当で、1人1日あたり200円が支給される。国が1975年に全国の公立学校で教員の「主任制」を導入した時から始まり、道内では78年から現在までに約110億円が支給されている。
日本教職員組合(日教組)傘下の組合は当初、この主任制について「教員の管理強化につながる」などと反対し、全国で手当の返還運動が行われた。北教組も組合員から手当相当額を集め、北海道教委に返還。これに対し、道教委は07年6月までこれを返送していたが、「郵送費などに税金を使うのはおかしい」といった批判を受けたため、同年末以降は受領していない。
組合員でない主任教員はそのまま主任手当を受け取っている。一方、07年末までの約30年間で組合員から集めた手当は約55億円にのぼり、同額が道教委に返還され、北教組に返送されている。返還運動は全国的にはなくなったが、北教組は現在も主任制を認めておらず、組合員から手当相当額を集め続けているという。道教委によると、北教組の組織率は34.2%(09年10月現在)。
札幌地検は、北教組へ返送された55億円や組合員から現在も集めている手当相当額といった巨額の資金の一部が利息などを生み、選挙資金に利用された可能性があるとみているようだ。