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【国際】

米中 本音は別? オバマ大統領とダライ・ラマ会談

2010年2月20日 朝刊

 【ワシントン=岩田仲弘】中国政府の報復を覚悟で十八日、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世との会談に踏み切ったオバマ米大統領。最大の目的は「会談の実現」だった。そのため、チベットの人権擁護の姿勢を強く打ち出しつつ、ダライ・ラマに中国との直接対話を重ねて促すなど、中国に対する配慮が強くにじんだ。

 大統領が昨秋、初訪中を控えてダライ・ラマとの会談を見送った際、議会からは与野党問わず「米国は北京にひざまずいた」(ロスレティネン共和党下院議員)などと“弱腰”批判が相次いだ。

 米外交問題評議会のエリザベス・エコノミー・アジア研究部長は「大統領は会談を見送って何も得ることがなかった」と強調する。

 貿易不均衡など二国間問題、地球温暖化、イランの核開発など中国の協力が欠かせない国際課題のどれ一つとっても成果は挙がっていない。雇用対策など国内問題で議会対策に苦しむ中、大統領はダライ・ラマと会わないリスクの方が、会うリスクよりもはるかに大きいと判断した。

 中国は会談の中止を強く求めてきたが、エコノミー氏は、台湾への武器売却決定やインターネット検索大手グーグルへのサイバー攻撃問題などをめぐって両国の対立は既に激化しており、「今回の会談で米中関係がさらに悪化するようなことはない」と指摘する。

 大統領は会談で「前向きで協力的な米中関係」の重要性もアピール。米政府は「米中関係は成熟しており、意見の不一致があっても協力できる」(ギブズ米大統領報道官)と、決定的な亀裂は回避できるとの楽観的な見方を示している。

 

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