プリウスのブレーキ不具合などリコールが相次いでいるトヨタ自動車の豊田章男社長が米下院監視・政府改革委員会の公聴会に出席することが2010年2月19日に決まった。大量リコール問題ではトヨタの後手に回った対応が批判を浴びたが、公聴会出席の経緯もトヨタ批判を強化するものである。それどころか米国の日本へのイメージも損ないかねないものである。
豊田社長は公聴会出席に消極的であった。監視・政府改革委員会のアイサ筆頭理事は豊田社長に出席を要請し、一部報道では豊田社長が公聴会出席を検討と報じられた。しかし、豊田社長は2月17日の記者会見では米国法人経営陣に任せるとし、自身の出席を否定した。
この会見内容は当然のことながら米国社会の反発を招いた。公聴会出席は懲罰ではなく、信頼を訴えるチャンスである。そのような発想がトヨタに存在しないならば、信頼回復は覚束ない。アイサ筆頭理事は「豊田社長は、議会に会社は変わると誓約することができない、地位が低い者を送ろうとしている」と批判し、同委員会のタウンズ委員長は2月18日に豊田社長を正式に招致した。
豊田社長は正式招致によって、ようやく公聴会出席を決定した。これは最悪のパターンである。前原誠司国土交通相が19日の定例会見で苦言を呈している。前原国交相は「豊田社長には米議会から呼ばれれば積極的に説明をして欲しいと言った」とし、「これまでに判断が二転三転したことは残念」と批判した。
米国には日本には自発的な対応を期待できず、高圧的に要求を突きつけて追い詰めなければ動かないという日本観がある。これはペリーの黒船による砲艦外交以来の伝統であるが、トヨタの対応が改めて裏付けることになってしまった。この点でトヨタは日本の国益をも害している。
外国でトヨタ・バッシングが行われているとなると、ナイーブな日本人はトヨタ擁護に流されてしまいがちである。しかし、悪しき日本人像を体現しているトヨタを感情論から国を挙げて擁護するならば、日本のイメージがトヨタと一緒に失墜することになる。日本としてはトヨタを批判し、切り捨てることも辞さないことが国益に適う。
その点で前原国交相が公聴会出席の決定経緯を批判したことは適切である。また、日本自動車工業会の青木哲会長が18日の会見で、米政府やメディアに日本車叩きの意図があるとの見方を否定したことも妥当である。日本社会が隠蔽体質のトヨタとは異なる社会であり、自国企業のトヨタを批判する能力があることを示すことが日本への信頼を高める道である。
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【オムニバス】トヨタ自動車・豊田章男社長会見に改めて失望
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【オムニバス】トヨタ自動車リコール問題へのアメリカ社会の怒り
http://www.janjannews.jp/archives/2596528.html
◇記者の「ブログ」「ホームページ」など
林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
http://sky.geocities.jp/hayariki4/
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この会見内容は当然のことながら米国社会の反発を招いた。公聴会出席は懲罰ではなく、信頼を訴えるチャンスである。そのような発想がトヨタに存在しないならば、信頼回復は覚束ない。アイサ筆頭理事は「豊田社長は、議会に会社は変わると誓約することができない、地位が低い者を送ろうとしている」と批判し、同委員会のタウンズ委員長は2月18日に豊田社長を正式に招致した。
豊田社長は正式招致によって、ようやく公聴会出席を決定した。これは最悪のパターンである。前原誠司国土交通相が19日の定例会見で苦言を呈している。前原国交相は「豊田社長には米議会から呼ばれれば積極的に説明をして欲しいと言った」とし、「これまでに判断が二転三転したことは残念」と批判した。
米国には日本には自発的な対応を期待できず、高圧的に要求を突きつけて追い詰めなければ動かないという日本観がある。これはペリーの黒船による砲艦外交以来の伝統であるが、トヨタの対応が改めて裏付けることになってしまった。この点でトヨタは日本の国益をも害している。
外国でトヨタ・バッシングが行われているとなると、ナイーブな日本人はトヨタ擁護に流されてしまいがちである。しかし、悪しき日本人像を体現しているトヨタを感情論から国を挙げて擁護するならば、日本のイメージがトヨタと一緒に失墜することになる。日本としてはトヨタを批判し、切り捨てることも辞さないことが国益に適う。
その点で前原国交相が公聴会出席の決定経緯を批判したことは適切である。また、日本自動車工業会の青木哲会長が18日の会見で、米政府やメディアに日本車叩きの意図があるとの見方を否定したことも妥当である。日本社会が隠蔽体質のトヨタとは異なる社会であり、自国企業のトヨタを批判する能力があることを示すことが日本への信頼を高める道である。
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