平成の衛生博覧会とでも申しましょうか、本物の人体(つまり死体)の水分を抜き取り、替わりに樹脂を詰めて腐らなくした標本が多数展示されています。ほとんどが中国人の献体による標本だそうです。
これを見に来る人はほとんどが好奇心や怖いもの見たさじゃないでしょうか。儂もそうです。実際に見てみると、怖さや気味の悪さは微塵もありませんでした。身体の中身を見るのは本当に面白い。何せ自分も同じモノなんですから。自分の身体や周りの観客の身体と見比べながら「みんな一皮剥くとこうなってるのだな」との思いを新たにしました。去年骨折したので、病院で見たレントゲン写真を思い出しながら、膝関節の標本は特に念入りに見ました。ああ、あの辺の骨が砕けたんだなぁ。
展示の最後では脳の標本と、丸ごとの人体標本に触れることが出来ます。脳を手のひらに乗せてみると、意外に小さくて軽い感じがしました。全身標本の所では、観客の反応が面白かった。絶対に触らない人、恐る恐る指先でつつく人、撫で回す人の3種類に分かれます。触らない人は、怖がっているんじゃ無くて、やっぱり死に対するケガレの意識があるようです。恐る恐るつつく人も、その後ハンカチや服で指先を拭ってました。儂の友達も、以前横浜の会場で触った時には手を洗いたくなったと言ってたなぁ。儂はもちろん撫で回させてもらいました。頭から顔、筋肉、内臓まで触ってきました。使っている樹脂が硬いのでしょう、筋肉など自分のと触り比べてもかなりカチカチでした。展覧会の後、善光寺にお参りしたのですが、本堂の賓頭慮尊者の木造を撫でながら、あまり変わらないなと思いました。
長野での展覧会を含め、現在各地で開催されている人体の不思議展は、裏で色々あれこれあるみたいですね。でも、そんな事は関係なく面白い経験の出来た展覧会でした。機会があればもう一回見てもいいな。
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