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社説:移設案先送り 「普天間」迷走は深刻だ

 「普天間」を巡る迷走はいつまで続くのだろうか。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設先を協議する沖縄基地問題検討委員会(委員長・平野博文官房長官)は、予定していた各党の移設先案の提示を見送った。鳩山由紀夫首相が繰り返し明言している「5月末までの決着」は本当に大丈夫なのか。

 社民党内では「米領グアム」「米自治領北マリアナ連邦テニアン」のほか、「海上自衛隊大村航空基地(長崎県大村市)」など九州への移設も浮上しており、国外中心の案である。これに対し、国民新党は「米軍キャンプ・シュワブ(沖縄県名護市など)陸上部」「嘉手納米空軍基地(同県嘉手納町など)への統合」の県内移設案を提示する方針だった。ところが、突然の先送りである。

 与党3党の足並みが乱れれば、野党に追及されて来年度予算案の国会審議に影響する、というのが見送りの理由のようだ。しかし、釈然としない。移設先を絞り込む過程で各党の案が異なることは最初から想定されていたことである。

 案提示は当初の1月末から2月中旬に延期されており、今回が2回目の先送りである。検討委での協議後、与党3党首の話し合いで合意を図るという段取りに支障は出ないのだろうか。国会論戦を恐れて予算案の衆院通過まで待つというのでは、単なる時間の浪費にしか映らない。

 今回、移設案提示の見送りを提案したのは社民党だった。移設先の反発が予想される「県外」案を明示するかどうかを巡る党内の意見対立が背景の一つのようだ。が、検討委発足から1カ月半以上経過しているのだから、今さらである。また、首相官邸と国民新党が「キャンプ・シュワブ陸上部」でまとめようとしているのではないか、という疑心暗鬼が県内移設反対の社民党内に広がったことも先送りに傾いた要因という見方もある。これではコップの中の駆け引きに過ぎず、説得力はない。

 首相が約束した「決着」には、米政府との合意のほか、国内移設なら地元との調整が欠かせない。両方を満たす移設先を選定するのは容易でない。米政府は日米合意の名護市辺野古沿岸部への移設を主張し、国内で候補地に挙がった自治体はいずれも受け入れに反対しているからだ。残された時間は少ない。「5月決着」には一日も無駄にできないはずである。

 一方、平野長官は、検討委に民主党の移設先案を提示する考えをやっと表明した。社民・国民新両党の主張を受けてのことだが、当然だ。

 一連の事態は、政府・与党として極めて拙劣な意思決定過程である。先送りにした政治感覚を疑わざるを得ない。深刻な混迷である。

毎日新聞 2010年2月18日 2時30分

 

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